2009年5月 3日 (日)

「生物と無生物の間」 講談社現代新書 福岡伸一著

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死んだ鳥症候群。私たち研究者の間で昔からいい伝えられているある主の致死的な病の名称である。

私たちは輝くような希望と溢れるような全能感に満たされてスタートを切る。見るもの聞くものすべてが鋭い興味を掻きたて、一つの結果が次の疑問を呼び覚ます。私たちは世界の誰よりも実験の結果を早く知りたいがため、幾晩でも寝ずに仕事をすることをまったく厭うことがない。経験を積めば積むほど仕事に長けてくる。何をどうすればうまくことが運ぶのかがわかるようになり、どこに力を入れればよいのか、どのように優先順位をつければよいのかが見えてくる。するとますます仕事が能率よく進むようになる。何をやってもそつなくこなすことができる。そこまではよいのだ。

しかしやがて、最も長けてくるのは、いかに仕事を精力的に行っているかを世間に示すすべである。仕事は円熟期を迎える。皆が賞賛を惜しまない。鳥は実に優雅に羽ばたいているように見える。しかしそのとき、鳥はすでに死んでいるのだ。鳥の中で情熱はすっかり燃え尽きているのである。

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肉体というものについて、私たちは自らの感覚として、外界と隔てられた個物としての実体があるように感じている。しかし、分子のレベルではその実感はまったく担保されていない。私たち生命体は、たまたまそこに密度が高まっている分子のゆるい「淀み」でしかない。しかも、それは高速で入れ替わっている。この流れ自体が「生きている」ということであり、常に分子を外部から与えないと、出て行く分子との収支が合わなくなる。

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生命とは代謝の持続的変化であり、この変化こそが生命の真の姿である。

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秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない。

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エントロピー増大の法則に抗う唯一の方法は、システムの耐久性と構造を強化することではなく、むしろその仕組み自体を流れの中に置くことなのである。つまり流れこそが、生物の内部に必然的に発生するエントロピーを排出する機能を担っていることになるのだ。

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遺伝子ノックアウト実験は、個体に何の異常も起こらないものが多々ある一方で、誕生を迎えないまま胚がその分化を止めてしまうような致死的なケースも多数あった。致死的なノックアウト実験が示すことは、その遺伝子が、発生上欠くことのできない重要なピースであることだけである。それがどのように必要とされるのかわからないままプログラムは閉ざされてしまうのである。

このような致命的な欠落ではなく、その欠落に対してバックアップやバイパスが可能な場合、動的平衡系は何とか埋め合わせをしてシステムを最適化する応答性と可変性を持っている。それが"動的な"平衡の特性でもある。これは生命現象が時に示す寛容さあるいは許容性といってもよい。平衡はあらゆる部分で常に分解と合成を繰り返しながら、状況に順応するだけの滑らかさとやわらかさを発揮するのだ。

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生命という名の動的な平衡は、それ自体、いずれの瞬間でも危ういまでのバランスをとりつつ、同時に時間軸の上を一方向にたどりながら折りたたまれている。それが動的な平衡の謂いである。それは決して逆戻りのできない営みであり、同時に、どの瞬間もすでに完成された仕組みなのである。

これを乱すような操作的な介入を行えば、動的平衡は取り返しのつかないダメージを受ける。もし平衡状態が表向き、大きく変化しないように見えても、それはこの動的な仕組みが滑らかで、やわらかいがゆえに、操作を一時的に吸収したからにすぎない。そこでは何かが変形され、何かが損なわれている。生命と環境との相互作用が一回限りの折り紙であるという意味からは、介入が、この一回性の運動を異なる岐路へ導いたことに変わりはない。

私たちは、自然の流れに跪く以外に、そして生命のありようをただ記述すること以外に、なすすべはないのである。それは実のところ、あの少年の日々からすでにずっと自明のことだったのだ。

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2009年4月 4日 (土)

「会社に人生を預けるな」 光文社新書 勝間和代著

(p26-27)
日本では判例上、人材を正社員として一度雇ってしまうと、解雇については次の四つの要件を満たすことが求められており、事業を撤退する、あるいは事業のパフォーマンスが悪いからといった理由ではなかなか解雇できません。

【整理解雇の四要件】
1.人員削減の必要性があること
会社が経営危機に陥っていて、人員整理の必要性があること。

2.解雇回避の努力を行っていること
整理解雇をするまでに、新規採用の中止、希望退職者の募集、配置転換・出向など、解雇を回避するための努力をしていること。

3.視営利基準と人選に合理性があること
整理解雇の対象者の選定基準が、客観的かつ合理的であり、また具体的適用も公平であること。

4.解雇手続きに妥当性があること
整理解雇対象者や労働組合に対して、整理解雇の必要性やその内容(時期・規模・方法など)について十分に説明し、相手の納得を得られるよう、誠意をもって協議していること。

(p51-52)
・・・特に大維持世界大戦後の高度成長期、企業側が社員を解雇しようとした時、プロローグで触れたような整理解雇の四要件(業績の悪化、回避努力、人選の合理性、手続きの合理性)を盾に企業側が裁判で負け続けたのです。
 そのため、日本の多くの企業が整理解雇を可能な限り避けるようになり、業績が悪くなっても正規雇用者はなるべく退職させないという制度が定着していきました。
 さらに、裁判で企業側が負け続けたため、本当は正当な手続きで解雇ができる可能性があったにもかかわらず、企業側がさらに訴訟で負けるリスクを恐れ、解雇という手段を取らなくなっていったという背景があります。そして、現在のように、なるべくギリギリの正社員で仕事を回しながら、非正規雇用でバランスを取るという労働形態が一般的になったのです。

(p66)
(企業が判例などを理由に終身雇用をあえて崩さなかった)
 その結果、雇用の流動性が著しく制限され、特に、こうした男性の働き過ぎ、女性の仕事のなさ、最近では中高年の働き過ぎ、若年層の仕事のなさ、という不均衡な状態が生まれているのです。

(p66)
私はよく、「外資系の給料はなぜ高いのか」という質問を受けます。その答えは単純で、多くの外資系企業では日本の終身雇用制にあたるものがないためです。すると、雇用の流動性がある職場になるので、まず「できる」人には高い給料をあげないとすぐに出ていってしまうということになります。これは逆にいえば、「できない人」をどんどん整理解雇するか、整理解雇しないまでも給料を切り下げたり、あるいはパフォーマンスの改善を要求できるということになります。
 一方、日本の多くの企業に見られる、簡単には人を解雇できない制度の中では、「できる人」もどうせ出ていかないから給料なんて安くていいということになり、「できない人」も食べさせなければいけないために、できる人の給料を上げることは合理的ではなくなります。したがって両者を比較した場合、どちらの給料が高くなるかは自明でしょう。

(p82 - summary)
「日本では高年齢の男性しか活躍しづらく、しかも、その男性たちも疲弊している」という悪循環を断ち切るためには、終身雇用制のみなおしが必要。政府も対策として正規と非正規の待遇格差をなくそうとして現在では主に非正規の待遇を改善しようとしているが、それだけでは流動性を確保するには足りない。正規と非正規の雇用格差をなくすと同時に、正社員に対する規制も緩和し、企業にとって整理解雇をもっとしやすくする方法が必要。日本の閉塞感を打破するためのティッピング・ポイントはここにある。
 さらに、総労働時間規制も視野に入れなければならない。一人当たりの総労働時間規制を決めることによって、雇用される機会のある労働者の人数が増える。

(p142-143)
お上はテキトーだ
・・・大企業の経営者は、残念ながら、大半はめまいがするくらい凡庸です。

(自分の意見を持たない会社経営者のエピソードの後)つまり、自力で判断し、物事を作りあげるという習慣がないのです。
 それが少数派だったら私も驚かなかったのですが、大多数の組織では、実はそのような決まり方で物事が進んでいきます。すなわち、「お上」はかなりテキトーだし、たいした実力もないのです。

(p147)
(日本では世襲の首相が続き、受けられる教育は親の所得層で決まってしまう)
日本は資本主義社会ではありますが、所得の再配分や格差の是正において、決して民主的ではありません。

(p167)
(現代は自分の勤める会社がいつ潰れてもおかしくない時代。世の中のスピードやビジネスモデルの変化が速いが、企業はその変化に対応できない。)
・・・本来なら個人や国家が背負うべきリスクを日本の場合は企業が抱えている、つまり企業が過大なリスクを背負わされているがゆえに、身動きがとれずになかなか変われないということもいえると思います。
 しかし、日本の場合、企業が従業員を簡単にクビにすると、企業側が責められることが多々あります。・・・
 つまり、従業員もリスクを取らない、国家もリスクを取らない、企業はリスクを丸抱えしたままという構造になると、企業はもう身動きが取れなくなるのです。ですから、日本の企業の社長というのは、気の毒といえばとても気の毒な存在なのです。

(p168-169 summary)
企業がリスクを取らずに従業員を管理できる仕組みが非正規雇用だったが、リスクマネジメントの仕組みが従業員にも企業にも国家にも存在しなかったために、ワーキング・プアが大量に発生した。

(p172)
 私は終身雇用制の緩和、正規雇用と非正規雇用の均等待遇、総労働時間規制の三つはセットで行わなければならないと思っているのですが、それを行えるのは国のリーダーです。

(p178)
 (リスク管理の教育について)たとえばアメリカの場合、仏教でいうところの因果応報や、他人に対してなぜ貢献しなければならいのかとか、将来の可能性において、これこれこういうリスクが考えられうるわけだから、こういう行動を慎みなさいとか、彼らはモラル教育を、教会を中心とした教育と学校教育、家庭教育で徹底的に受けて育ちます。これはリスクマネジメントという観点から見た場合、非常に優れたシステムです。

(p197)
私たちがリスクをよりよく学び、管理するためには、個人においては源泉徴収・年末調整の見直し、国においては道州制の導入、企業においては終身雇用制の緩和が必要だと考えています。この三つがもし確実に実現すれば、私たちの考え方にしても、そして将来の日本人の動きについても、明治維新に近いくらいのインパクトが生まれると私は思っています。

(p212)
小泉内閣が行ったことというのは、それまで政府と企業が取っていたリスクを個人に押し付けたということです。その最大の被害者が、今、数多く存在する20~30代の非正規雇用者だと思います。

(p216)
 新卒一括採用・終身雇用制の仕組みは、社会の流動性を極端に妨げ、貴重な人的資源の再配分を妨げ、若年層の雇用を妨げ、ワーク・ライフ・バランスを妨げ、少子化の遠因となり、文字通り、私たちの幸せ・発展への「ボトルネック」になってしまっていると、強く、強く感じるのです。

2008年9月23日 (火)

セルフトーク・マネジメントのすすめ 鈴木義幸著

■「許せない」から「何があったんだろう?」へ
著者がコーチングをしていたある事業部長は、期限を守らない部下を前にすると、「許せない」という内側のセリフがスイッチになり、怒りの大爆発を起こしていた。このセルフトークを、「何があったんだろう?」に変えたところ、大爆発が起こらなくなった。

■自分のためではなく、相手のために何ができるか考える
ボストンフィルハーモニー常任指揮者のザンダーは、コンサートに招待したのに遊びに行ってしまった音楽学校の生徒に怒っていたが、妻から「リーダーはいつも試される。リーダーは3つの選択肢の狭間で揺れている。一つ目は相手を説き伏せてしまうこと、二つ目は妥協することで、大抵のリーダーは一つ目か二つ目しかやらない。三つ目の選択肢は相手の可能性を拓くことで、これを常に選択し続けるリーダーは大きな成功を手にしている」と言われた。

後日ザンダーは、コンサートに招待した意味や意義を事前に説明しなかったことを生徒たちに謝罪し、今後は事前に説明するようにすると話した。その後生徒たちは招待されたコンサートには必ず出席するようになった。

どうすれば相手の可能性を拓くことができるのか考えることは自分の可能性を拓くことにも通じる。

■セルフトークのマネジメント
セルフトークは、感情的なものから理性・思考的なものに変えて使うか、ネガティブな(感情的な)ものであれば減らし、なくすことでマネージする。ネガティブなセルフトークが無くなると、「ゾーン」と呼ばれる完全に集中した状態になれる。

■セルフトークを変えるには
「この会議を建設的なものにするために、何ができるだろう」のようなセルフトークは、自分はクリエイターであり環境に働きかけてゆくことができるというスタンスを生む。

「この人が生まれたときに、にっこり笑った両親がいる」と感じられると相手が自分を悩ませる単純な人間ではなく、重層的な人として現れる。

「この人はなぜこんな態度をとっているのか?」と相手の背景を探る。

視点を変える。自分の能力が高くなれば、エベレストのように大きく感じていた問題も、近くの丘くらいに感じられるようになる。

■自分の「アイデンティティ」に固執しない
アイデンティティとは場に応じて変えてもいい「役割」という認識を持って固執しない方がネガティブなセルフトークが発生しない。

あまりこだわると少しでも部下に反対されると激昂してしまったり、ささいなミスで自分を追い込むことになる。

アイデンティティはまとうものであり、自分と他人の間に立ち現れてくる相対的なものにすぎない、刺激をを受けたとしても、決して内側にある「本当の自分」が傷つくわけではない、と考える。

2008年5月 2日 (金)

幸せについて

アランの幸福論 (Propos sur le bonheur) アラン著 齋藤慎子訳
VII. 幸せについて

苦悩を自分と切り離して考える
わたしに言わせれば、幸せの秘訣のひとつは、自分の不機嫌に気をとめないことだ。
「この怒りも時がくれば消えてなくなるものだ」と言おう。子どもが泣きやむのと同じで、怒りもすぐに消えてなくなる。

人生をとことん楽しむ
人生はわくわくする楽しいことにあふれている。お金もいっさいかからない。
なのに、わたしたちは十分に楽しんでいない。あらゆる言語で、いたるところに、こんな標語を掲示するべきだ。「目をよく見開いて、楽しもう」

時間を無理にあやつろうとしない
壮大でゆるぎない時間を押してはいけない。時間は宇宙のすべてをいっせいに刻々と動かしているのである。

上機嫌を発揮する
上機嫌療法とは、どんな災難に対しても、とくに、この治療法をたまたまやっていないときだったらわめき散らしたくなるようなくだらないことに対して、上機嫌を発揮することである。
この療法をしていると、そういうささいなわずらわしさが逆にとても役に立つ。坂道で脚の筋肉が丈夫になるのとちょうど同じことである。

思いつめるよりも無頓着でいる
思いつめるよりも無頓着でいるほうがいい。

意志をもって幸せになる
悲観主義は感情からくるもの、楽観主義は意志からくるもの。
結局のところ、よい感情というものはない。感情は、正確に言うと、きまって悪いものである。だから幸せはすべて、意志と克己心とから生まれるのである。

幸せになると誓う
「悲しくなるような考えは、すべて間違った考えである」と思いなさい。こうして用心をすることは不可欠だ。なぜなら、人はなにもしないでいると、すぐに不幸せを当然のようにつくりだしてしまうのだから。

2008年4月30日 (水)

人とのかかわりについて

アランの幸福論 (Propos sur le bonheur) アラン著 齋藤慎子訳
V. 人とのかかわりについて

最大の敵は相手ではなく、自分自身である
自分自身のほかに敵などほとんどいない。最大の敵はいつも自分自身なのである。間違った考えや無意味な不安、がっくりくるような言葉を自分とかわすことによって。

礼儀正しさを学ぶ
粗野でせっかちなところが感じられるとしたら、それはすべて無作法である。どちらか一方の気配がするだけでも、十分に無作法だ。ほんのわずかな脅しが感じられても、それはすでにいきすぎである。
無作法とはいわば、いつでも脅しのようなものなのである。

最初に思い浮かんだことを衝動的に口に出す、感情を抑えられない、感情を自覚すらしないうちに驚きや嫌悪感や喜びをはばからず表に出す・・・。こういう人はみんな、無作法な人である。

礼儀作法とは、感情にじかに対抗する一種の鍛錬にすぎないのである。礼儀正しいということはつまり、あらゆるしぐさ、あらゆることばを通じて、次のことを伝えているのである。
「いらいらしないようにしよう。人生のこの瞬間を台なしにしないようにしよう」

束縛しない
束縛をとこう。自由にさせよう。恐れるな。

2008年4月25日 (金)

行動について

アランの幸福論 (Propos sur le bonheur) アラン著 齋藤慎子訳
IV. 行動について

自ら切り開く
人がなにもしなければ、世界全体は藪と疫病に覆われるだろう。住めなくはないが、快適な環境ではない。
人にとって好都合といえるものは、自分で努力して成しとげたことだけである。それなのに、ただ期待するから不安になるのだ。
だから、たまたま最初からうまくいったというのは、出だしとしては非常にまずい。

理解し、行動する
理解することと行動することこそ、本当の療法である。反対に、もしなにもしないでぶらぶらしていたら、やがて不安と後悔の念に陥るだろう。
「瞑想する人間は、自然に反した生き物である」

本当の解決策とは、どうしたらいいかがわかっていること

進んで行動する
人は自分で考えて行動したいのだ。人に言われて動くのはいやなものである。
困難を進んで受けて立つと、たちまち幸せになるのだ。

行動のない楽しみよりも、行動のある困難を選ぶ
逆説隙のディオゲネスは、困難こそよいものだとよく言っていた。彼のいう困難とは、自分で選んで進んで受け入れる困難のことである。ひたすら耐えるだけの困難はだれも望まないのだ。

2008年4月24日 (木)

人生について

アランの幸福論 (Propos sur le bonheur) アラン著 齋藤慎子訳
II. 人生について

喜びを持って生きる
「うまくいったからうれしいのではなく、うれしい気持ちでいたからうまくいったのだ」
もしあなたが喜びを探して出歩くのなら、そのときは、必ず喜びをたっぷり持っていくといいだろう。

未来を考えず、目の前のことだけを見る

過去や未来にとらわれない
人が耐えなければならないのは現在だけ。過去も未来も無害である。
過去と未来が存在するのは、人がそれについて考えるときだけ。
それなのにわたしたちは、過去に対する後悔と未来に対する不安をわざわざつくりだしているのである。

自分自身について

アランの幸福論 (Propos sur le bonheur) アラン著 齋藤慎子訳
II. 自分自身について

笑顔でいる
しかたなく愛想笑いを浮かべて丁寧にあいさつをする礼儀正しさのおかげで、すべてが変わることはよくある。
笑顔はあくびと同じように体の奥深くまで広がって、のど、肺、心臓というふうに次々と緊張をゆるめていくのである。

礼儀正しくふるまう
上機嫌なふるまいをできるかどうかは、分別や理性の問題ではない。分別などまったく役に立たない。態度を変え、体を動かし、礼儀正しいふるまいをする必要がある。

幸福を演じる
礼儀正しいふるまいには、わたしたちの考えに強い影響を与える力がある。優しさ、親切、幸せを演じることは、不機嫌の撃退にかなり効き目があり、腹痛にさえ効く。

あくびをする
あくびは疲れた証拠ではない。(あなたの身体が「気を配ったり議論したりするのは、もうごめんだ」と語っている)
この活発な改善作業を通じて自然の姿が伝えているのは、生きているだけで満足であり、考えるのに飽きたということなのである。

楽観主義をつらぬく
怒りと悲観こそ、まず克服すべき敵である。信じ、期待し、ほほえみ、その上で努力しなければならない。

喜びは健康につながる
なんにも興味を持たなくなった高齢者が長生きすることにわたしたちは敬服するが、それはおそらく死に対する不安がまったくなくなったのが理由だろう。
落馬するのは自分が怖がって固くなるからというのと同じ知恵だ。ある種の無頓着さは、すばらしい効果のある作戦なのである。

2008年4月21日 (月)

不安と感情について

アランの幸福論 (Propos sur le bonheur) アラン著 齋藤慎子訳
I. 不安と感情について

悲しみは心の問題ではなく、身体の問題である
悲しみは、赤血球の数の問題なのだとわかれば、話は早い。
「本当の友だちが少ない」というより、「赤血球の数が少ない」というほうがよくないだろうか?

大げさに考えない
幸せや不幸せの具体的な理由は、たいして重要ではない。すべては、身体とそのはたらきにかかっているのである。

病気のまねごとではなく、健康のまねごとをする

身体の役割を知る
魂は感情に左右されない崇高で繊細なもの、といつでも考えられているが、そうではなく、ただ無関心なだけではないだろうか。生きている肉体のほうが魂よりずっと立派である。

感情ではなく、態度をコントロールする
意志で自分の感情をどうこうすることはできないが、態度はただちにコントロールできるということだ。
バイオリンでも手にとって弾きはじめるほうが、頭で感情を追い払おうとするよりもずっと簡単。これが賢人の知恵である。

あれこれ考えるのをやめる
わたしたちは感情から抜け出ることができる。しかしそれは、思考によってではなく、行動することによって、である。
心配ごとがあるときに、あれこれ考えるのはやめよう。

行動をベースに考える
想像の力は強力である。事態のはかりしれない重大さや人間の弱さを想像しだしたら、なにもできなくなってしまう。
だから、行動するのだ。行動におきかえて考えるべきなのである。

身体を動かして、気持ちを変える

感情の口車に乗らない
想像力により頭の中で生みだされた悩みや感情は、いつも疑ってかかること。感情が今たくみに自分を説き伏せようとしているのだと察して、その口車に乗らないようにすること。そうすれば悩みの大半はすぐに消えてなくなるだろう。

2008年4月 6日 (日)

「外資のオキテ」

「外資のオキテ」
You Can't Win a Fight with Your Boss.
トム・マーカート著 青木高夫訳

誠実かつチャーミングであれ
元気で楽しそうな笑顔を忘れず、常に好奇心を持ち、仲間には親切を心がけたまえ。

最重要人物、それは上司だ

よい上司を見つけよ

上司を尊敬せよ
きみの昇進の鍵はきみの上司が握っている。当然、上司には尊敬を払わねばならない。上司の成功を助け、その評価を高めるのもきみの仕事なのだ。
もちろん、尊敬が演技であってはならない。オフィスで礼を欠くような態度をとれば、まわりには反逆と映る。

上司についてよく知っておけ
きみの上司はどんな報告の仕方に満足するだろうか?この質問に答えられないようなら、きみの昇進はおぼつかない。

プレゼンの準備には充分な時間をかけよ
トップの知識は広範だが、厚みはほとんどない。すべてについて要点のみ知るのがトップの役目で、詳細な情報はまず必要ないのだ。
長いよりは短いプレゼンにインパクトがある。
というのも、経営者が集中できる時間は十歳児と同じで、面白く簡単な話でなければ聞いてもらえないからだ。

職場で友人をつくるな
きみの指示を受ける友人はどんな気分だろうか。あるいは、人員削減を指示されたとき、友人を解雇できるだろうか。

身だしなみを大切にせよ
毎朝、出社する前に、鏡に自分の姿を映し問いかけてみることだ。「私はCEOに見えるか?」
服への投資を惜しまず、必要に応じて洗練されたブランドを選ぶことだ。
常に「キメ過ぎ」くらいで問題はない。そして色は基本的に濃紺。男女ともに上品な濃紺の「勝負服」は必須アイテムだ。

スマイルを忘れるな
優秀な社員はスマイルを忘れてはならないのである。

健康には気を使え
食事はエネルギーの源であり、仕事の出来、不出来も食事にかかっている。質の低いエネルギーでは、質の高い仕事などできるはずがない。

読書せよ
どんな課題でも、エキスパートになるのはさほどむずかしくない。本を五冊読めば、おおよその全貌は理解できる。

文章を書くスキルを磨け
一ページで事実を的確に述べ、要求を明確にし、何をしてほしいかを伝えたまえ。

部下から真実を聞きだし、結果につなげよ
聞き上手であると同時にすぐれた話し手であることだ。常に真実を語り、悪い情報もためらいなく公開したまえ。言い訳は無駄。

部下を大切にせよ
大切な部下を二流の店に連れて行ってはならない。

「ありがとう」を忘れるな

常に謙虚であれ
会社のイベントがあれば、準備を手伝う。部下たちとピクニックに行ったら、おいしそうなサンドイッチは譲って残り物を食べる。

仕事の変化を喜べ
現状に甘んじないことだ。仕事の変化、新しいポジション、そして苦労を享受したまえ。

2008年3月10日 (月)

“Giving” Bill Clinton

So we began our work in the same way anyone here would begin it.  We asked: “How could the world let these children die?”
The answer is simple, and harsh.  The market did not reward saving the lives of these children, and governments did not subsidize it.  So the children died because their mothers and their fathers had no power in the market and no voice in the system. 
But you and I have both.
We can make market forces work better fro the poor if we can develop a more creative capitalism – if we can stretch the reach of market forces so that more people can make a profit, or at least make a living, serving people who are suffering from the worst inequities.  (Bill Gates)

“Ideas are what change the world, and ‘meaning’ is the greatest undervalued asset in the market place of ideas.”  He says that at Sterling Stamos, philanthropy adds to staff morale and productivity.

…the key to happiness is to stop focusing on me and start focusing on we

…the ability to see the “others” as people – …is essential to putting broken communities back together and moving on with life.

One of the greatest regrets of my presidency is that I did not send forces as a part of a U.N. mission to stop it (ルワンダ虐殺について)

“What good does revenge do me?  What good does it do anyone?  It doesn’t help us to heal.”

…freedom is something much different than just a physicality, a space of physical existence.  Freedom has a lot [to] do with your ability to think.  Freedom has a lot to do with your ability to communicate with others.  To see the world in a different view.

…a college education is the surest way to close the revolving door of crime and imprisonment

Theoretically, they have paid their debt to society and are entitled to a new beginning.  Too fe of our fellow citizens are willing to give it to them.

If I pray for anything for your book, it is that it will convey the importance of coming together – the value of giving over receiving – and the power that lies in each of us to reach out to someone and change a life, and thereby change the world.

Each Millennium Village requires a total private donor investment of $250,000 for a village of five thousand people.  That means someone who gives $50 to Millennium Promise can help sponsor one villager in a Millennium Village for a year.

Mortenson’s work is a potential model for others for two reasons.  First, its projects are entirely initiated, implemented, and managed by local communities,…
Second, the program is financed by very small as well as large contributors, providing children in the United States the chance to contribute and learn how different life is for kids in poor nations.  Pennies for Peace solicits pennies from schoolchildren over a fixed period of time, usually two or three months.  Only pennies are collected and students learn that, while a penny won’t buy anything in the United States anymore, it buys a pencil and opens doors to literacy in Pakistan and Afghanistan.  Many other NGOs could involve kids in this way, harnessing their energy to help others, teaching them about the needs in their community and the world, and cultivating the next generation of givers.

On April 26, 2007, the New York Times carried a story o the efforts of Amalgamated Bank to open branch banks in neighborhoods with many people who have never had a bank account.  There are an estimated 28 million of them in the United States, keeping their extra money at home, cashing their paychecks at costly check-cashing businesses never having a checking or saving account or an ATM card.  Often refund anticipation and pay-stub loans – which can lead to who live in an all-cash economy are not just at greater risk of financial ruin; they can’t establish a good credit ratings or buy homes.

…one of the most important ways of giving time, money, knowledge, and skills can be in an effort to change, improve, or protect a government policy

…as of 2006, wages and salaries paid to workers as a percentage of GDP stands at the lowest level on record, 51.6 percent.  The share of income going to corporate profits was the highest on record at 13.8 percent.

“the most important contributor to higher profit margins over the past five years has been a decline in labor’s share of national income”

If the top one percent simply give 5 percent of their income…If the rest of the top 10 percent give one percent of their incomes…The total would be nearly $70 billion,…

Why do some people give so much while others give the bare minimum ore not at all?  I’ve thought about this a lot and it seems to me we all give for a combination of reasons, rooted in what we think about the world in which we live and what we think about ourselves.  We give because we think it will help people today or give our children a better future; because we feel morally obligated to do so out of religious or ethical convictions; because someone we know and respect asked as; or because we find it more rewarding and more enjoyable than spending more money on material possessions or more time on recreation or work.
When people don’t give, I think the reasons are simply the reverse.  They don’t believe what they could do would make a difference, either because their resources are limited or they’re convinced efforts to change other people’s lives and conditions are futile.  They don’t feel morally obligated to give.  No one has ever asked them to do so.  And they believe they’ll enjoy life more if they keep their money and time for themselves and their families.

Who’s happier?  The uniters or the dividers?  The builders or the breakers?
I think you know the answer.  There’s a whole world out there that needs you, down the street or across the ocean.
Give.

2008年1月 8日 (火)

茶の本 岡倉天心 跋文

The Book of Tea by Okakura Tenshin Afterword
茶の本 岡倉天心 跋文

As an expression of the principles underlying the way of chanoyu, Rikyu used the phrase “harmony, respect, purity, tranquility”
利休居士は茶の湯の精神を「和敬清寂」という言葉で表した。

“The true aristocrat is the one who is free of anxiety”
「真の貴人とは何も心配することがない人のことである」(無事是貴人) 禅僧・臨済

the failure to perceive the deepest humanity of others is one of the greatest causes of strife in the world.
他人の深奥にある人間性を理解しそこなうと、それがこの世の争いの最大の原因のひとつになる。

In the scope of human relationships, the principle of respect means to have no design on others, to be free of the calculation to impress or compete.
人間関係という観点から見れば、尊敬というこの理念は、他人にたいして何かを企てないということであり、計算して相手を感動させたり、相手と競争しないということである。

Genuine harmony cannot be attained through the self-conscious endeavor of the participants but must arise free of their intentions.  That is, it comes about only when it is based on mutual respect and on a selflessness achieved through long discipline and practice.
純粋な調和というものは、茶会に招かれた人々が自分で意識的に努力したからといって生まれるものではなく、彼らがそのような意志を捨てることで生まれるものである。つまり、長い間の実践と修行によって習得した無欲さや、互いに尊敬しあう心があって、はじめて調和というものが実現できるのだ。

This meeting – but once in a lifetime.
今のこの茶会は生涯でただ一度のものである(一期一会)

attitude of cherishing each moment
寸時を大切にするという態度

Chanoyu is depected as “the worship of the Imperfect”
(茶の本では)茶の湯は「不完全なものを崇拝する」という名句がある

True beauty, according to Taoist and Zen thought, can be discovered only by one who mentally completes the incomplete.  The virility of life and art lie in their possibilities for growth.
道家や禅の思想によれば、真実の美を発見できるのは、心のなかで不完全なものを完全にできる者だけだという。

“the three jewels of life were Pity, Economy and Modesty”
「人生の三つの宝は、慈愛と、節倹と、謙譲とであった」

2008年1月 7日 (月)

茶の本 岡倉天心 第七章 茶の宗匠

The Book of Tea by Okakura Tenshin Chapter 7 Tea-Masters
茶の本 岡倉天心 第七章 茶の宗匠

Those of us who know not the secret of properly regulating our own existence on thi tumultuous sea of foolish troubles which we call life are constantly in a state of misery while vainly trying to appear happy and contented.  We stagger in the attempt to keep our moral equilibrium, but see forerunners of the tempest in every cloud that floats on the horizon.  Yet there is joy and beauty in the roll of the billows as they sweep outward toward eternity.  Why not enter into their spirit, or , like Liehtsue, ride upon the hurricane itself?
われわれのなかで、われわれが人生と呼んでいるこの愚かな辛労の騒然たる大海で、自分らの生存を適正に律してゆく秘密を知らない人々は、絶えずみじめな状態にある。しかも幸福で、満足しているように見せかけようと、むなしく試みている。われわれは自己の精神安定を保とうと、幾度やってもよろめく。そうして、地平線に浮かんでいるどの雲にも、嵐の前ぶれを見る。しかしながら、永遠の方へと向かってくり出してゆく波涛のうねりのなかに、歓喜もあれば美もあるのだ。なぜにその精神の中へと入ってゆかないのか、さもなくば、列子のように、強風そのものに騎らないのか?

2007年12月19日 (水)

茶の本 岡倉天心 第六章 花

The Book of Tea by Okakura Tenshin Chapter 6 Flowers
茶の本 岡倉天心 第六章 花

The primeval man in offering the first garland to his maiden thereby transcended the brute.  He become human in thus rising above the crude necessities of nature.  He entered the realm of art when he perceived the subtle use of the useless.
原始の人間は、その乙女の最初の花束を捧げたときに、そのことによって獣性を超脱したのだった。彼はこうして自然の粗野な必然の上に出ることによって、人間となったのである。彼が無用なものの微妙な用を認めたとき、芸術の王国へと歩み入ったのである。

2007年12月18日 (火)

茶の本 岡倉天心 第四章 茶室

The Book of Tea by Okakura Tenshin Chapter 4 The Tea-Room
茶の本 岡倉天心 第四章 茶室

What Riku demanded was not cleanliness alone, but the beautiful and the natural also.
利休が要求したももは、単に清潔ということではなかった。美しいものと自然なものとをも彼は求めたのであった。

Theory of evanescence
諸行無常の教理

fugitiveness
無常

2007年12月17日 (月)

茶の本 岡倉天心 第三章 道家と禅

The Book of Tea by Okakura Tenshin Chapter 3 Taoism and Zenizm
茶の本 岡倉天心 第三章 道家と禅

Hide yourself under the bushel quickly, for if your real usefulness were known to the world you would soon be knocked down to the highest bidder by the public auctioneer.  Why do men and women like to advertise themselves so much?  Is it not but an instinct derived from the days of slavery?
諸君、すみやかに己を隠すがよい、というのは、もし諸君が真に有能なことが世間に知れたなら、諸君はたちまち公共の競売人の手で最高の入札者のせり落とすところとなるからだ。なぜ男も女も、こうまで自家を広告したがるのだろう?これは奴隷制度の時代に生まれた一種の本能にすぎないのではないだろうか?

One who could make of himself a vacuum into which others might freely enter would become master of all situations.
他人が自由に出入することのできる空虚となすことができたなら、随所に主となるに至るであろう。

Reluctant, as one who crosses a stream in winter; hesitating, as one who fears the neighborhood; respectful, like a guest; trembling, like ice that is about to melt; unassuming, like apiece of wood not yet carved; vacant, like a valley; formless, like troubled waters. (Taoteiking)
しぶしぶとあること、冬に川を渡る者のごとくである。ためらい勝ちであること、あたりをはばかる者のごとくである。うやうやしいこと、客のごとくである。わななくこと、まさに解けんとする氷のごとくである。ぼさっとしていること、まだ加工していない材木のごとくである。からっとしていること渓谷のごとくである。混沌としていること、騒いでいる水のごとくである。(道徳教)

The most respected and advanced monks were given the more irksome and menial tasks.
最も尊敬されている修行の積んだ僧侶には、いっそう厄介で下賎な仕事が課せられていたのであった。

Zen conception of greatness in the smallest incidents of life
人生の最も些々たるできごとのなかにも偉大なものを認得する禅の考え方

2007年12月12日 (水)

茶の本 岡倉天心 第二章 茶の流派

The Book of Tea by Okakura Tenshin Chapter 2 The Schools of Tea
茶の本 岡倉天心 第二章 茶の流派

Perhaps we reveal ourselves too much in small things because we have so little of the great to conceal.
われわれがつまらぬことにあまり多く己をあらわすのは、きっと隠すべき偉大なものをもっていないからのことなのだろう。

2007年12月11日 (火)

茶の本 岡倉天心 第一章 人間性の茶碗

The Book of Tea by Okakura Tenshin Chapter 1 The Cup of Humanity
茶の本 岡倉天心 第一章 人間性の茶碗

Perhaps nowadays it is in our demure contemplation of the Imperfect that the West and the East can meet in mutual consolation.
おそらく今日にあっても、「西」と「東」が相会して相互に慰め合うことができるのは、不完全なものに対するわれわれのまじめな瞑想の中でであろう。

The heaven of modern humanity is indeed shattered in the Cyclopean struggle for wealth and power.  The world is groping in the shadow of egotism and vulgarity.  Knowledge is bought through a bad conscience, benevolence practiced for the sake of utility.  The East and West, like two dragons tossed in a sea of ferment, in vain strive to regain the jewel of life.  We need a Niuka again to repair the grand detestation; we await the great Avatar.
現代における人間性の天は、じっさい、富と権力を求めるための恐ろしい大闘争の中に粉砕されている。世界は利己と俗悪の闇中を模索しつつある。知識は悪しき良心によってもたらされ、徳行は功利のために施される。東洋と西洋とは、狂乱の海中に翻弄される2頭の竜さながら、失われた人生の宝玉を手に入れようといたずらに努力するのみ。この巨なる荒廃を修理するため、われらはふたたび一人の女媧を必要としている、われわれは偉大な「権化」を待望しているのだ。

2007年7月29日 (日)

徳川家康の遺訓

人の一生は、重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。不自由を常と思えば不足なく、心に望みおこらば、困窮したるを思い出すべし。堪忍は無事長久の基。怒りは敵と思え。勝つことばかりを知って、負くることを知らざれば、害その身に至る。おのれを責めて人を責むるな。及ばざるは過ぎたるより優れり。

かぜをひいた

先週の水曜日くらいからかぜぎみで喉が痛かったりして、木曜日くらいからだるくなって金曜日は会社を休んで寝ていた。週末になってもなんかだるく、昼間寝ることなど滅多に無いのに、昼間からやたら寝たりしていた。

母にメールでかぜをひいたと書いたら疲れたんじゃないかと返事が来たが、最近、私の勤める金融グループの銀行の現地法人化に伴い組織改正があった。現地法人化したとは言っても結局、新しく就任した社長もアメリカ人だし、アメリカの金融グループの一部であることに変わりはなく、日本で何でも決められるのではない。

各ビジネスごとにグローバルのレポーティングラインが事業展開する各国から本国に向けて縦に走り、一方でアジアパシフィックだとかジャパンだとか、地域ごとにある程度組織を横にまとめるマトリックス組織はグローバル企業にはよくあるけれども、私の勤める会社の場合は縦に走るビジネスごとのレポーティングラインが圧倒的に強い。この環境の中で、ジャパンという地域でのマネジメントを強化しようという現地法人化にはチャンレンジがあると思う。

そんなわけで現地法人化に伴う組織改正は行うとは言われていたものの遅々として進まず、私もinner voiceからは「静観しろ」と言われていたので、できるだけ気にしていないように振舞ってはいたが(そして実際、こういうハイレベルなことを私のような平社員が気にしてどうなるものでもないのだが)、やはり修行が足りず、相当気になっていたようだ。

まあかぜをひいた原因は現地法人化とか関係無くて、単に夜クーラーをつけて寝るからかもしれないけど。

夜寝る前に少しづつ読んでいる「心に響く般若心教」に、

「この世の真実のありようは、無常(移り変わる)であり、苦であり、不浄であり、無我です。ところが私たちは、現実の存在を、常であり、楽であり、浄であり、有我であると信じようとします。」

と書いてあった。このような「真理からはずれた見方」を「顛倒」、「現実でない思い」を「夢想」という、とこの本に言われ、それは大変失礼しましたと思った。

2007年5月29日 (火)

FASCINATING WOMANHOOD - Childlike Anger

If you have a harsh, critical, disposition you’ll not be able to express childlike anger until you overcome these serious weaknesses of character.

You don’t have a right to be angry when your husband has failed in his world of responsibility.
He has a right to be himself, eve If it means to be weak and lazy, to neglect his duty, or even to fail.   This is his department.

Also, don’t express anger when you feel the emotions of hate, bitterness, resentments, or any of the ugly emotions.  Instead, pour out your angry feelings to a trusted friends or parent, or engage in hard physical work.  Work on your character, especially the qualities of humility, acceptance, and forgiveness.

Also, don’t use childlike anger as a means of reforming his treatment of you.  The only purpose of childlike anger is to vent troubled feelings, ease painful moments, preserve self-dignity, and be fascinating.

Develop character to eliminate the ugly emotions of hate, bitterness, sarcasm, or resentment.

2007年5月28日 (月)

FASCINATING WOMANHOOD - Worthy Character

A man wants a woman of fine character, one he can place on a pedestal and hold in high regard.  He expects her to be not only good, but better than himself.  He hopes that she will be kinder, more patient, forgiving, unselfish, and hold more valiantly to principles.

Train the will:
a) Do something unpleasant – take a cold shower, exercise, or eat health food you don’t like
b) Do something difficult – do a hard job, stick to your diet, or work on a difficult goal, forego coffee, candy, or something
c) Do quotas of yourself – get up at four thirty, get a specific job done at a given time, etc.

“These six things doth the Load hate; yea seven are an abomination to him; A proud look, a lying tongue, and hands that shed innocent blood, an heart devisheth wicked imaginations, feet that be swift in running to mischief, a false witness that speaketh lies, and that soweth discord among brethren.”  It is significant that pride is described as an abomination to God along with lying, wicked imaginations, and even murder.

Patience means to endure trials or pains without complaint, to bear stress and strain with calm endurance.  When provoked or suffering, you control yourself.  If something is out of reach you forbear, you wait with calmness, without discontent, undisturbed by obstacles, delays or failures.

FASCINATING WOMANHOOD - Inner Happiness

Happiness is quite different from pleasure.  While pleasure comes from things which please the senses, happiness may arise from unpleasant experiences.
Happiness is the bud, the blossom, and the fruit of good and noble actions.  It is not the gift of God.  It must be earned.

Inner happiness is acquired by following eternal laws.  Inner happiness can be reached by everyone who obeys its laws.

2007年5月25日 (金)

FASCINATING WOMANHOOD: Understands Men

1. Accept him at his face value
Get rid of self-righteous attitude and look to his better side.  Don’t try to improve him.

2. Appreciate his better side
Appreciate his character, intelligence and what he does for you.

3. Admire his manliness
As she gives him admiration, he returns love.
Your greatest opportunity to admire him will be when he talks, especially when he talks about himself, subjects he is interested in, or his life away from home.  When you see that he is enjoying the conversation, keep it going by your comments and questions.  Then learn to listen.  Do not listen only to what he is saying, but to the man who is saying it.  Don’t follow the conversation so closely that you fail to appreciate the man talking.
Be sincere and specific when you admire him.
The center of women’s happiness in marriage is to be loved, but the center of a man’s is to be admired.

4. Make him number one
Do not make children or career your number one.
A special time to prove to a man that he is number one in your life is when he comes home from work.  Have all the housework out of the way and things as quiet as possible.  Be attractively groomed and greet him with a smile.  Don’t let the children rush to him with their problems.

5. Let him be the guide, protector and provider
Women’s role is to be a wife, mother and homemaker.
If he neglects his masculine duties and it causes you severe problems, don’t complain.  Instead say to him, “I have a problem.”  State clearly your problem and the trouble it has caused.  Then ask, “How do you think I should handle it?”  This honors him as the leader, puts the problem on his shoulders, and helps him feel needed.  To further succeed, offer him appreciation.  And be faithful to perform your domestic duties.
A common mistake is to give a man too many suggestions, too much advice, to tell him what to do, and how to do it.  This also shows lack of trust and gives him the impression that you know all the answers, that you don’t really need him, and can get along as well or better without him.
The test comes when you don’t agree.
Nothing makes a man feel so responsible as when someone places a childlike trust in him.
Men who lose themselves in their work have to neglect wives and children to some extent.  They are the men, however, that make the most notable contributions to society.  If you are married to such a man, count yourself fortunate.
Meekness (on the side of women) tends to awaken manly courage.

6. Let him manage the money

7. Don’t wound his sensitive masculine pride
Never belittle, ridicule, or be indifferent to any part of his masculinity.  Never suggest that he doesn’t measure up in his manhood.  Never imply that he could do better, or that someone else is doing better.  Never indicate that his manly care and protection are not needed, that you could make it without him.  Never ignore a demonstration of his masculinity.  And take care that you never excel him in anything masculine.
You must withhold feelings and confessions which would wound his sensitive pride.

8. Be sympathetic, understanding
He is often tired of being his best for total strangers and would like to relax and be his worst for his family, hoping they will overlook it.  When a man comes to her, he so often comes to recover his simple humanity, and to rest from being at his best.

2007年5月24日 (木)

Fascinating Womanhoodについて

Fascinating Womanhoodはお友達の家に遊びに行ったときに邦題「良妻賢母のすすめ」のことがふと話題になり、何となく読んでみようかという気になり読んだ。最初もっと適当に軽くとばし読みするつもりで読みはじめたが、途中からこれはと感じて真剣になり、結局かなり引き込まれて読んだ。通勤電車やオフィスの入っているビルのコーヒーショップでも読んでいたが、ブックカバーをつけていても何か恥ずかしくて、ひとりで照れながら読んだ。

邦題からも分かるように、家計を支える家族のリーダーとしての男性の役割と、家庭を守りこどもを育てるサポーター的な女性の役割を分ける性的分業を基本的な考え方とした、幸福な結婚生活をおくるためのアドバイスがこの本のテーマ。

男性と女性の役割の根拠は聖書の記述においていて、妻であり母である女性に聖書の教えを守り、祈りやその他の自己鍛錬により人格を高める努力をせよ等と説いていてかなり哲学的。当然、女性がキャリアを持つことには否定的で、経済的な問題は可能な限り贅沢を廃し、倹約によって解決することをすすめている。

そうは言っても、好むと好まざるとにかかわらず、女性が仕事を持つことがこれだけ一般化してしまった世の中で、どこまでこの性的分業の考え方がリアリティーを持ちうるのかという素朴な疑問は私も持った。この本は一部の有産階級でクリスチャン的な、倫理観も強く要するにコンサーバティブな金持ちの、数少ないエリート専業主婦のみを対象として書かれたのだろうかとも考えた。

一方では、女性もいわゆる「キャリア」と呼ばれるようなフルタイムの、ある程度責任のある仕事を持ち、しかも結婚して家庭を持ち、子どもを産んで育てるという、ワーク&ライフのバランスを、実際問題、どのようにとることが可能なのか、という問題にもリアリティーのある答えは無いんだから、そうすると「性による分業」も、パートナーを得ることができるんだったらいいよなあとか個人的には考えたりする。

なおこの考えを女性の友人に話すともれなく、「(今のキャリアが)もったいない」、「(専業主婦なんて)すぐ退屈する」等の反対意見か、もしくは「(パートナーが欲しいなら)もっと具体的な努力をしろ」等の厳しいフィードバックに迎えられている状況である。

FASCINATING WOMANHOOD by Helen B Andelin -Summary-

20070526_fascinatingwomanhood You are in a precarious position as the wife.  You can build or destroy him.  You destroy him by needling him to change, stealing his leadership, wounding his pride, and ignoring his important needs.  You build him by appreciating him, admiring him, understanding him, healing his wounds, and helping him function as the guide, protector, and provider.

The most basic principle taught in Fascinating Womanhood is this: If you want to awaken a man’s love and tenderness, you must 1) Be a person worthy of that love, a woman of both angelic and human qualities.  2) Make him feel like a man.  To do this, admire his manly qualities, make him feel adequate and needed in his role as a man, fill your role as a woman, be feminine and childlike – traits which make him feel manly in contrast.

When you turn to God and are born of the spirit, you’ll find a new strength to sustain you in daily living.  You’ll overcome the weaknesses of human nature much better.  If you are not affiliated with a religion which inspires a faith in God and love of fellowman, let this be your first step in living the teachings of Fascinating Womanhood.

2007年3月28日 (水)

“The World is FLAT” by Thomas L. Friedman

…every person now must, and can, ask: Where do I as an individual fit into the global competition and opportunities of the day, and how can I, on my own, collaborate with others globally?

We were not just communicating with each other more than ever, we were now able to collaborate – to build coalitions, projects, and products together – more than ever.

Wealth and power will increasingly accrue to those countries, companies, individuals, universities, and groups who get three basic things right: the infrastructure to connect…(インターネット、携帯電話、空港、道路), the education(イノベーションとコラボレーションを可能にする教育) …, the governance…(財政、法令)

(イラクの戦場で情報収集のために映像分析をするとしたら)
…the effect I want to create is to get the smartest analysis in real time, and the way I get that is by horizontally connecting different nodes in my whole network.  Because all of us are smarter than one of us, my priority is not who controls the video but how do I create a horizontal response system to extract the most intelligence, from all of us, to understand what the video is showing.

From vertical command and control to horizontal connect and collaborate

…not only claim its slice of the bigger global pie but invent its own new slice as well.

(Wal-Martの株主と消費者は従業員の福利厚生を削ってでも利益と低コストを追求するが、Wal-Martの社員は福利厚生が削られることを嫌う。一般市民としては、Wal-Martのような大企業が社員の福利厚生費を削れば、税金で社会福祉費用を支払うことになる)
…politics in the flat world will consist of asking which values, frictions, and fats are worth preserving…

…individuals have to think globally to thrive, or at least survive.

…you have got to justify your job every day with the value you create and the unique skills you contribute.  And if you don’t, the job can fly away farther and faster than ever.

(Flat Worldで当面失業しないのは、例えば、)
- コーディネイトできる人
- ビジネスプロセスの統合ができる人
- 説明の上手い人、複雑なことを単純に説明できる人
- 問題解決できる人
- 適応能力の高い人、多才(versatile)な人
- 創造的、パーソナライズできる、情熱的な人
- ローカライズできる人

What are the right staff?
- 学習方法を学習する能力(ability to learn how to learn)
- 情熱と好奇心:好奇心を喚起できる教師が良い教師
- 人が好きなこと
- 右脳能力:芸術性、共感、大局を見る能力、不可解の追求、ハイタッチ・ハイコンセプト
- 音楽を愛するエンジニア(i.e. Georgia Institute of Technology)

Generally speaking, imagination is the product of two shaping forces…narratives that people are nurtured on (stories and myths), …context in which people grow up

Different context, different narrative, different imagination

On such a flat earth, the most important attribute you can have is creative imagination – the ability to be the first on your block to figure out how all these enabling tolls can be put together in new and exciting ways to create products, communities, opportunities, and profits.

2007年3月 2日 (金)

High Concept, High Touch

To flourish in this age, we’ll need to supplement our well-developed high-tech abilities with aptitudes that are “high concept” and “high touch”.  High concept involves the ability to create artistic and emotional beauty, to detect patterns and opportunities, to craft a satisfying narrative, and to come up with inventions the world didn’t know it was missing.  High touch involves the capacity to empathize, to understand the subtleties of human interaction, to find joy in one’s self and to elicit it in others, and to stretch beyond the quotidian in pursuit of purpose and meaning.

A Whole New Mind:
Moving from the Information Age to the Conceptual Age

By Daniel Pink

2007年2月 1日 (木)

複雑さを語る言語を獲得せよ

人類の直面する問題の多くは、私たちが世界の複雑なシステムを把握し、管理する能力が無いことに起因している。

複雑でダイナミックな現実を単純で明快な言葉で語ろうとすると、単純で分かりやすい解決を求める過ちに陥る。学習するチームは問題の複雑さを語ることばを持たなければならない。

物理学者のDavid Bohmは、科学の目的とは知識の集積ではなく、常に自然と私たちの意識が交互に参加できるような、人の認識(perception)を導くメンタル・マップを創ることだと言った。つまりホーリスティックな自然観と人の内的な思考モデルを一致させること。Bohmは人間の思考の一貫性の欠如が生み出す非生産性が世界の問題の根底にあると言う。

チームでの学習はダイアログとディスカッションを通して行われるが、私たちの行動が私たちの現実を作り出すというシステム思考は最初は受け入れがたく、複雑で矛盾を含む問題を検討するにはチームの成熟を必要とする。

ダイアログは拡散する(diverge)。ダイアログの目的は合意することではなく、複雑な問題をより豊かに理解すること。

無意識(subconscious)を訓練することにより、例えばピアノを弾いたり、車を運転することなど、より多くの複雑さ(detail complexity)に対処できる能力を身につけることができる。文化、信条、言語は無意識をプログラムする。システム思考を表現する言語を獲得すると、システム思考ができるようになる。

“Fifth Discipline” by Peter M. Senge

2007年1月26日 (金)

“Fifth Discipline” by Peter M. Senge - PartV Coda

無意識(subconscious)を訓練することにより、例えばピアノを弾いたり、車を運転することなど、より多くの複雑さ(detail complexity)に対処できる能力を身につけることができる。文化、信条、言語は無意識をプログラムする。システム思考を表現する言語を獲得すると、システム思考ができるようになる。

“Fifth Discipline” by Peter M. Senge - Part IV Prototypes

ビジョンとオープンネスは組織内政治やゲームの解毒剤である。こどもは親に、生徒は教師に、部下は上司に「権威」を求めるように人は育てられるが、例えば世界の飢餓の問題について考えるとき、政治家が全ての答えを知っているのではない。権威に頼りすぎることは個人を弱め、学習する組織を阻害する。教育問題のような正解の無い問題(divergent problem)については、オープンに話し合う以外に生産的な解決は無い。物事について、ひとつの解釈しか持たないことは私たちの制限となる。真に望む結果を産むための自由を、私たちは獲得しなければならない。

リスクをとることを奨励するとは、許しを実践すること。(to encourage risk taking is to practice forgoveness.)

老子は、「無能な指導者は人々から軽蔑され、良き指導者は人々から尊敬されるが、偉大な指導者は、人々が事業を『自分たちで成し遂げた』と言わしめる」と言った。リーダーの仕事は静かな設計(design)の仕事である。

リーターはビジョンと現実の間に創造的緊張(creative tension)をつくりだし、それを管理する。

人生の真の喜びは、自分の不満やわがままを超えて自然の一部となり、大きな目的に使われること。

2007年1月22日 (月)

“Fifth Discipline” by Peter M. Senge - Part III - 4

Part III  The Core Disciplines: Buiding the Learning Organization
Team Learning

ジャズ・ミュージシャンは音楽が自分からではなく、自分を通して流れる感覚があるという。ビジョンの共有はこれに近い。チームでの学習はダイアログとディスカッションを通して行われるが、私たちの行動が私たちの現実を作り出すというシステム思考は自己弁護を誘発しやすく、最初は受け入れがたい。複雑で矛盾を含む問題を検討するにはチームの成熟を必要とする。

物理学者のDavid Bohmは、科学の目的とは知識の集積ではなく、ホーリスティックな自然観と人の内的な思考モデルを一致させるメンタル・マップを創ることだと言った。Bohmは人間の思考の一貫性の欠如が生み出す非生産性が世界の問題の根底にあると言う。

ダイアログによって人は自分の思考を観察し、その一貫性の無さに気づき、修正することができる。人の精神は自分の思い込みを固定し、自己弁護する傾向がある点に注意する。ダイアログの参加者は意見が違う人も敵ではなく、意見の違う同僚と見る。本当に必要な(compelling)発言しかしない。自分自身の自己弁護の傾向について自己開示をし、他の人の意見を求める(「その新しい提案に、私は不安を感じるんですが、それはなぜなんだろう?」)。

ダイアログは拡散する(diverge)。ダイアログの目的は合意することではなく、複雑な問題をより豊かに理解すること。

複雑でダイナミックな現実を単純で明快な言葉で語ろうとすると、単純で分かりやすい解決を求める過ちに陥る。学習するチームは問題の複雑さを語ることばを持たなければならない。

2007年1月15日 (月)

Listen to what is Emerging from Yourself

The only thing that can become fate for man is belief in fate.  The free man is he who wills without arbitrary self-will.  He believes in destiny, and believes that it stands in need of him.  It does not keep him in leading strings, it awaits him, he must go to it, yet does not know where it is to be found.  But he knows that he must go out with his whole being.

The matter will not turn out according to his decision; but what is to come will come only when he decides on what he is able to will.  He must sacrifice his puny, unfree will, that is controlled by things and instincts, to his grand will, which quits defined for destined being.

Then, he intervenes no more, but at the same time he does not let things merely happen.  He listens to what is emerging from himself, to the course of being in the world; not in order to be supported by it but to bring it to reality as it desires.

Martin Buber, Hebrew Existentialist Philosopher

2007年1月 7日 (日)

Being the Steward of a Vision

This is the true joy in life, the being used for a purpose recognized by yourself as a mighty one ... the being a force of nature instead of a feverish, selfish little clod of ailments and grievances complaining that the world will not devote itself to making you happy.  - George Bernard Shaw

2006年12月 8日 (金)

Risk Taking and Forgiveness

To encourage risk taking is to practice forgiveness
("Fifth Descipline" by Peter M Senge)

2006年11月21日 (火)

“Fifth Discipline” by Peter M. Senge - Part III - 3

Part III  The Core Disciplines: Buiding the Learning Organization
Shared Vision

ビジョンとは人の心に宿る力であり、内的基準。パフォーマンスの高いチームの特徴はビジョンと目的の共有。人はビジョンのためになら正直に自分の考えを話し、今までの思い込みを捨て、人や組織の欠点を認めるため、ビジョンの共有は学習を促進する。人はビジョンを共有することで他者や自分を超えた大きな目的とつながりたいと願っている。

人に長期的視点を持つよう、合理的に納得させることはおそらく不可能。人が長期的視点を持つのは、それが必要だと感じるからではなく、そうしたいと望むから。ビジョンに「従う」人は、組織のビジョンに従うことで何か他のものを得ようとしている人で、ビジョンそのものを欲している人とは異なる。

組織の支柱となるのは、ビジョン、ミッション、コアバリューで、ビジョンはその一部。ビジョンとは「何を」行うかという将来像。ミッションとは「なぜ」その組織が存在するのかで、その組織が世の中に貢献する独自のやり方。コアバリューとは「どのように」で、誠実さ、オープンさ、正直、自由、機会平等など。

効果的な人とはビジョンを持ちながら現実がはっきりと見える人。自分が現在の現実の一端を担っているという自覚が無く、「他の誰か」や「制度(システム)」が現実を規定していると考える人には現実を変える力が無い。

2006年11月20日 (月)

“Fifth Discipline” by Peter M. Senge - Part III - 2

Part III  The Core Disciplines: Buiding the Learning Organization
Mental Models

「裸の王様」の童話はメンタル・モデルに縛られた人々を描いている。我々はメンタル・モデルに基づいて世界を解釈し、行動を起こす。ベストのアイデアは、人々の持つメンタル・モデルに逆行するために、実行には至らない。私たちのメンタル・モデルの殆どはフィードバックや時間の遅延を計算に入れておらず、何が影響を与えているかではなく、何が目立つかに注目しているため、誤っている。

メンタル・モデルの抱える問題は、全てのモデルが単純化であることと、意識されることなく存在すること。深く刻みこまれたメンタル・モデルはシステム思考と学習を阻害する。組織の中で自分の考えが採用されなくても、自分の考えを述べることができる開かれた学習プロセスがあり、周囲の人々が誠実に行動していれば、人々の間に軋轢は起きない。

学習を促進するには、「抽象化の飛躍」(leaps of abstruction)に気づいて、質問(inquire)し、相手が言ったことだけでなく、思っていても言わないこと(left-hand column)、つまり隠された想定にも注意する。主張することと、質問して相手の話を聞くことをバランスさせる。皆が自分の意見を吟味可能な形で開示すると、互いに弱みを見せ合う雰囲気が生まれるため、誤りを見つけ、最も良い考え方を発見することができるようになる。これを可能にするには各自は自分の思考には限界があることを認めなければならない。言っていることとやっていることにギャップがあること自体よりも、そこにギャップがあるという真実を認めないことが学習の妨げとなる。

最終的にはメンタル・モデルとシステム思考を統合し、イベントベースで物事を見るのではなく、長期的な変化のパターンとそれを生み出す構造を理解する必要がある。

2006年10月 5日 (木)

“Fifth Discipline” by Peter M. Senge - Part III - 1

The Core Disciplines: Buiding the Learning Organization

Personal Mastary

組織は学習する個人を通してのみ学習する。

人の潜在能力を引き出すには、潜在意識と意志の力、世界に奉仕したいと真剣に願う心の動きを理解すること。組織のマネージャーの根本的なタスクは、人が最も豊かな生活を送ることができる条件を提供すること。個人の能力を引き出すことはその個人の幸福感に影響を及ぼす。

個人の成熟の原則とは、創造的な観点で人生を生きること。自分が真に欲していること(=ビジョン)に集中する能力を高め続け、そのために自分にとって何が重要なのかを常に明らかにし、現実をどのようにもっと明瞭に見ることができるのか、継続的に学習すること。学習とは情報量を増やすことではなく、人生で真に欲する結果を生み出す能力を拡大すること。

成熟した個人は、特別な目的意識(ビジョン、天職)を持っており、現状を味方と見る。変化の力を感じとり、それを利用する。探究心があり、もっと真実を明らかに正確に見ようとする。他者や生命そのものとつながっているという感覚を持っている。個性的である。自分を大きな創造的なプロセスの一部ととらえており、そのプロセスを支配することはできないが、影響力を及ぼすことができると考えている。自分の目的意識に従って生きているために幸福である。意識と無意識の深いつながりを保っており、プロセスではなく望む結果に集中する。

無意識を効果的に作用させるテクニックとしては、ビジュアライゼーションがある。世界レベルの水泳選手は、自分の手は実際の2倍大きく、脚には水かきをつけていると想像して泳ぐ。

80歳になっても衰えを見せない教師やソーシャルワーカーや聖職者がいるが、彼らは人の性質について正確な見解を持っており、人に期待しすぎない。このため人間関係に落胆することがあっても、それほど大きな心理的なストレスは感じず、バーンアウトが起こらない。

一方にビジョンが、その反対には無力感があり、その間のどこかに現状がある。ビジョンと現状の差が、創造的緊張(creative tension)と構造的葛藤(structural conflict)を産む。この葛藤を解決するには、①ビジョンに妥協をするか、②不安と恐怖で葛藤を操作する(例えば恐怖政治)か、③何が何でも自らの意志の力で押し切る(ただし人間関係の破綻などコストを伴う)か、④真実を認めるかである。真実を認識することは人を自由にする。

個人の成熟の原則に従うと、理性と直観の統合、世界とのつながり感の増大、共感、全体の重視など、微妙な変化が起こる。理性と直観は森に迷い込んだ盲人と脚の無い不具者とのようなもので、森を抜ける唯一の方法は、目の見えない理性が、脚の無い直観をおぶってその指示に従い、歩いてやること。

組織が個人の成熟を促すには、リーダーがモデルとなること。

2006年10月 4日 (水)

“Fifth Discipline” by Peter M. Senge: Part II

The Fifth Descipline: The Cornerstone of the Learning Organization

システムには「補完フィードバック(compensating feedback)」があり、押せば押すほど押し返される。問題の根本に対処しない短期的改善は行えば行うほどもっと対策が必要になり、誤ったシステムを支える努力をすると、システムの問題を隠すことに貢献する。米ソの軍拡競争は、目の前のことに対処するだけでは長期的に望ましい結果は得られないことを示した。

小さな変化が大きな結果を生み出す。最も影響力のある変化は、時間と空間を隔てる変化を引き起こすために目立たない。大きな船が方向を変えるにはトリム・タブと呼ばれる小さな舵が必要である。

影響力のある変化を引き起こすには表面的な出来事ではなく、その構造を見るシステム思考をすることが第一歩。システム思考とは部分ではなく全体を見ること、線的な原因と結果ではなく相互関係を見ること、瞬間写真ではなく変化のプロセスを見ることで、そのように私たちの思考を再構成しなければならない。

すると人は現実に消極的な反応をするだけではなく、現実を積極的に作り出し、未来を創造することができるという考え方のシフトが起こる。システム思考に「外界」は無い。自分と自分の抱える問題は共にひとつのシステムの一部であり、問題解決は自分が「敵」とどのように関係構築できるかにかかっている。

システム思考とは、複雑さを一貫したストーリーに整理して、問題の原因を明らかにし、持続的に改善するにはどうしたらいいのかを示すこと。最も必要なのは何が重要で何が重要でないのかを知ること。

仕事の過負荷によるストレスの根本的な解決策は、優先順位をつけ、選択して仕事の負荷を制限すること。企業がサービス品質を保つための根本策は、設備や人的資源に投資し、需要の拡大を抑制すること。

2006年10月 3日 (火)

“Fifth Discipline” by Peter M. Senge: Part I

How Our Actions Create Our Reality...and How We Can Change It

学習する組織とは素晴らしいチームである。お互いを信頼し、強みと弱みを補完し合い、個人の目標よりも大きな共通の目標を持ち、優れた成果を出す。

システム思考とは全体的な観点から因果関係や目には見えない影響を理解する思考の枠組みのこと。人類の直面する問題の多くは、私たちが世界の複雑なシステムを把握し、管理する能力が無いことに起因している。人は時間と距離が離れると自分の行動が何に影響を与えるのか因果関係が見えなくなるが、今日、環境問題や軍事など地球規模の問題を引き起こしているのは突然の出来事ではなく、ゆっくりとした漸進的なプロセスである。現象の対症療法に過ぎない政策は短期的には成果を上げたように見えても、根本原因を放置するために長期的には悪影響を与えている。

個人の成熟の原則に従うことは、自分が最も望んでいることに自分の人生を捧げること。成熟度の高い個人は、最も深い重要性を持つことに一貫して成果を出す能力を持つ。自分のビジョンを明確にし、深め、そこにエネルギーを集中し、忍耐力を養い、物事を客観的に見る能力である。

思考モデルとは、思考の前提となる想定や一般化のこと。自分の内的世界を明らかにするには、自分の思考モデルを表に出してそれを徹底的に疑ってみること。

チームでの学習はダイアログを通して可能となり、ダイアログには個人では到達することのできない発見がある。

人は組織の中で自分の役割を限定し、何かが上手く行かないと自分以外の誰かが悪いと考える傾向があるが、実は「他の誰か」と「自分」は同じシステムの一部である。問題に対処する前向きな態度は、「他の誰か」と戦うことではなく、自分が直面している問題に、自分はどのように関わり、影響を与えているのか考えることである。

自分が知らないこと、不確かであることを認めようとしない態度は社会や組織で奨励されがちだが、そのような「利口な無能(skilled incompatence)」は学習の妨げとなる。

外的な力や個人の過ちより、システム自体が問題を引き起こす場合が多い。システムの中で、個人は行使することができる力を持っているが、その力は行使されないことが多く、人はある一定の行動をとらざるを得ないかのように行動しがちである。しかし歴史の法則の中では、個人の意思は結集してナポレオンを王座につけ、革命を起こし、やがて没落させる力を示している。

システムが全体として上手く行かないと個人は成功することができず、システムの中では他者も成功していないと自分が成功することはできない。システムを理解するための2つの教訓のひとつは、「薬を2錠飲んで待て(take two asprin and wait)」。効果が出るまで薬を飲み続けてはいけない。システムには遅延があることを理解する。もうひとつは「パニックに陥るな(don’t panic)」。性急な感情は制御して悪循環を避ける。

2006年10月 2日 (月)

"Fifth Discipline" by Peter M. Senge: Introduction

学習する組織の要素は、システム思考、思考モデル(mental model)、個人の成熟(personal mastery)、ビジョンの共有、チーム学習とダイアログ。これら原則の実践は、生涯続く最終目的地無き旅である。組織が変化するには個人も変わらなくてはならない。思考モデルとは私たち自身であり、これを変化させることは挑戦である。

If we lose our ability to talk with one another, we lose our ability to govern ourselves.

2006年8月 3日 (木)

国家再生 日本復活への4つの鍵 ジェフ・キングストン

20060803_kokka_saisei 著者の考える日本復活への4つの鍵とは、
1. 透明性の向上と説明責任の浸透
2. 「法による支配」から「法の支配」への移行
3. 市民社会の活性化
4. 女性の役割の変化

ワークライフバランス、雇用の機会均等、統治の透明性を当然とする市民社会を構築するには、日本の社会にはまだ課題は多いものの、情報公開法、司法制度改革、NPOや女性の役割が日本のゆっくりとした、「静かな変容」を進行させている。

途上の一歩一歩はわずかで大した効果がないように見えても、それが積み重なっていつか大きな改革や進歩となる。

市民社会の必要性
21世紀は日本人にとって透明性の時代の幕開け。何十年にもわたる運動の末ようやく、情報公開の推進派は説明責任を果たしていない行政となんの咎めも受けていない役人の首を、ゆっくりかつ段階的に絞めてゆく手段を得た。

しかし開かれた政府と情報公開法を支えるのは一般大衆であり、施行を成功させるためには、圧力に屈せず、重大課題から眼をそらさず、集めた情報を効果的にまとめることができる十分に組織化された独立した市民グループが必要。

また情報の開示請求をしたら、それを政策立案過程で有効に活用できる請求者の共同体が無ければ、法律は効果を発揮しない。

1998年のNPO法は、多くの問題をはらんだ法律ではあるが、新しい展開の先駆けとなる可能性も含んでいる。

NPOの今後
NPOの今後について、スタッフ不足や煩雑な事務手続きなど、現在の問題を解決するには、「政治勢力といかに力を合わせていけるか」にかかっている。
政府がNPOを育成するためにできることは以下7つ。
1. NPOの法人化や公的認証を容易にすること
2. 監視の軽減: 法律の単純化
3. NPOの自己統治の促進: 行政の監督の縮小
4. NPOの助成金獲得や入札の奨励: 行政の調達政策の単純化
5. 税制の単純化: 個人による寄付を容易にすること
6. NPOの役割を教える教育課程の組み込み
7. NPOのプロ化の奨励: NPO関連の大学のプログラムへの財政支援

ハンセン病訴訟
賠償金を求める運動に加わった患者のひとりである鈴木氏は、「自分が正しいと信じる行動をとることと、自分の信念を捨てず、それに忠実であり続けること」と、権威に疑問を抱くことの必要性をハンセン病患者の闘いから学んだと語った。

人生をまるごと失ったハンセン病患者には正義などありえない。彼にとっては患者側の主張を認める判決は、自分の信念に忠実でありつづけることの価値を立証するものだった。

鈴木氏の未来へのメッセージは、「日本人は従順で人のいいなりになりやすい。権威に疑問を抱こうとしない。これは私たちの身に起こったことから学んだ悲しい教訓です。・・・次の世代の人々に差別とは、従順であるとはどういうことなのか、よく考えて欲しい。人は、自分がそう願いさえすれば変化を起こすことができる。それこそ日本の民主主義に必要なものなのです」

若者の雇用
中年にさしかかった団塊の世代のサラリーマンの仕事と既得権が守られてきたことによって、若者はよい仕事に就く機会を減らされてきた。

かつては高卒者の領分だった職種は今では大学卒業者に奪われるか、オートメーション化や経営合理化の犠牲となるか、日本よりはるかに人件費の安い海外に輸出されてしまうかしている。求人があるのは賃金が安く昇進の見込みなどほとんどない、パートタイムか臨時社員の仕事というのが一般的。そのようなフリーターは世間を軽蔑してきたかもしれないが、そのぶん疎外感を抱き、自尊心を失い、困窮するという大きな代償も払ってきた。

ワークライフバランス
家庭が仕事を支え、仕事の便宜を図るように強いられてきたシステムから、仕事が家庭の便宜を図り、家庭を支えるシステムへと移行することによって、日本人は自国の社会を大幅に向上させ、より強固なものに育てていける。

2006年6月15日 (木)

雇用システムと女性のキャリア 武石恵美子

男女雇用機会均等施策や両立支援など、働く女性のキャリアを支援する政策のもとで、女性のキャリアの展開の制約条件は緩和されつつある。90年代を通して女性は労働市場にとりこまれやすくはなったが、内部労働市場(各企業内)の基本的な構造に変化は無かった。

一方で、拡大する非正規労働者は、正規労働者との賃金格差の問題をはらんではいるものの、基幹労働力化した非世紀労働者に対する処遇条件の改善が進むなど、新しい変化も見られ、正規労働者のキャリアに近づいている。

これらの変化を総括すると、従来と比べて女性の能力発揮の機会は広がり、キャリア展開の可能性は広がってきた。しかしこのような変化によって変わったのは、男性と同様に長期勤続を前提にキャリア形成をめざす女性たちに限定されている。

男女雇用機会均等施策、両立支援、非正規労働者の処遇改善はしかし、取り組みが進んでいない企業がマジョリティであり、働く人の変化をふまえて雇用システムを誘導する政策が必要。日本の女性のキャリアの特徴であるM字カーブは依然として存在する。

従来の男女雇用機会均等施策や両立支援は、女性についても男性性社員のキャリアをモデルにしていたが、これらの政策によっても女性のキャリアに大きな変化がみられなかったのは、多くの女性にとって、男性のキャリアがめざすべきモデルとはなりえなかったからではないか。

90年代以降就業形態の変化は顕著で、失業率をみると女性より男性の方が高い。企業は従来のように長期雇用を前提とした男性性社員を雇用し続ける体力を失ってきており、男性優位の労働市場に変化があらわれ始めている。従来の雇用システムにはまた、内部柔軟性への依存が高いために長時間労働が恒常化したり、いつ転居をともなう転勤が発生するかわからないといった問題につながりやすかった。

戦後日本企業は、多元化していた内部労働市場を強力に単一化し、それを通して生産性向上と成長を獲得したが、同時に終身雇用と年功制の対象層が肥大化するという大きな重荷を背負うことになった。この集団化のコストを解消するには、企業内の労働市場の多元化の必要があり、そのためには現在二極化している正規労働と非正規労働に連続性をもたせ、労働者層の編成を多元化してゆく必要がある。課題は仕事の配分に応じた非正規労働者への処遇の実現と、正規労働に転換できる仕組みづくり。

正規労働の雇用を守り、その緩衝材の役割を非正規労働者に求めていくのは働く者にとっても、組織にとっても合理的とはいえない。

両立化支援策につては、小さな子どもをもつ女性労働者の問題に矮小化すると限界がある。アメリカでのワークライフバランスの展開は、子育てをしていない従業員の仕事と生活の調和を図りたいというニーズが顕在化したことから起こった。ワークライフバランスは自己啓発のためにも必要。近年の長時間労働の拡大は問題で、放置すれば働く人の意欲が減退する。

これまで日本の社会は女性が働かないことを前提とするさまざまな制度が支配してきたが、女性が働くことを前提にした社会システムに転換してゆくことによって、女性のみならず男性にとっても、多様な働き方の選択肢が拡大することにつながる。

2006年6月11日 (日)

人が育つ会社をつくる キャリア創造のマネジメント 高橋俊介

20060611_hitoga_sodatsu ■ 上下序列のOJTの限界
日本の組織で、人が育ちにくくなっている。上下序列のOJTが機能しなくなってきている。経営環境も組織の年齢構成も変化してきている中で(例えば30代後半の「バブル入社組」はピラミッド組織の中で突出して人数が多いため、部下を持つポジションにつきにくい)、限りあるマネジメントポストに昇格してゆく以外に人が成長してゆけるキャリアパスが必要。また社会的ステータスのある人からしか学ばないという、学習の上下発想を捨てる必要がある。年下、部下、後輩からも大いに自分の成長になるきっかけを得られる。

■ ダイバーシティーの必要性
OJTによる知識の伝承は、会社に閉鎖的ネットワークしかなく、新卒がそのネットワークに同化することを前提にしてきたが、今は新卒も同化を嫌うし中途採用も増えた。「辞令ひとつでどこへでも行きます」を強制する企業では優秀な社員は取り込めなくなってきている。日本企業は強い絆の組織への忠誠を期待するので、育成しても途中で辞めるような人間には投資したくないと考え、出産で辞める可能性のある女性や、中国に進出した場合にも転職しがちな中国人社員には長期の育成コミットメントをしたがらない。

一方でダイバーシティー・マネジメントの重要性は今後高まる。少子高齢化社会において、働き方の多様性は避けられない現実であり、2007年問題やグローバル化への対応も必要。またダイバーシティーは経営判断の質を向上する。同質な人間だけが意思決定にかかわっているとグローバル社会においては経営判断を誤る確率が高くなる。

■ ビジョンなき疲弊からの変革
いま日本の多くの会社は、激しい変化の中でビジネスモデルを変えることなく、目に見える成果だけを求めて第一線を疲弊させている。ビジョンなき疲弊は成長に結びつかない。上司は自分が教える立場になったと感じると自ら学習することはやめてしまい、自分の知らないこと(MBAなど)を勉強しようとする部下を嫌う。しかし実際には時代の変化は激しく、教える立場になったと思ったときから知識の陳腐化が始まっている。古いモデルを変えないまま、中高年が持っている陳腐化したスキルを指導伝承し、労働時間を延長することで目標の達成を迫っても、若手は育つどころかつぶれかねない。例えば顧客の在宅率も低下し、経営環境も変わってきている中で、いつまでもプッシュ型の営業にノルマを課すなどがその例。

会社は組織が社員を疲弊させるだけの古いビジネスモデルから、より健全なモデルに変革を遂げることで、社員の成長を促すチャンスをいちばん多く生み出せる。

■ 人材育成の国際比較
日本のホワイトカラーは先進主要国の中で飛びぬけて自己啓発にお金を投資しない。欧米企業がどれくらい人材育成に時間とお金を投資しているかを、日本の経営トップは知っておくべき。『フォーチュン』の「The 100 Best Companies to Work For」トップ10企業の社員一人あたり年間研修時間は約57時間。それでも自己都合退職率は10%程度あるが、欧米企業は辞める人には教育しない、とは考えない。

■ 人材育成は目標管理できない
人材育成は、目標管理では管理しきれない課題。投資した時間やお金へのリターンはにわかには見えにくい。人の成長とは複雑で微妙なプロセス。教育の最終的な財務リターンは計算できないというのが人材育成に熱心な企業の間ではほぼコンセンサス。

■ ネットワークと良い偶然の重要性
組織の中には業務命令系統としての「表の組織」と、個人の信頼関係による「裏の組織」があり、個人の成長に大きな影響を与え、また個人が周囲の人の成長に影響を与えるのは「裏の組織」。IT(インターネット・イントラネット)の活用による交流には大きな可能性がある。

多様で開放的なネットワークに身を置き、信頼と互報性の概念で、人のために直接の見返りを期待しない行動をとったり、いかなるときも自分なりの見解を持って仕事に臨んだりといった思考・行動特性を持つ人には、計画的でない成長が結果的に可能で、自分のキャリアにとってプラスに作用する偶然が起こりやすい。

逆に、やりたい仕事を職種名で決めてしまって、そこに行き着くためにいま何をやるべきかを逆算して考え、それ以外のことはやらないというのは、せっかくの偶然を得る機会を自ら放棄している。キャリアとは効率的、合目的的なものではない。一見無駄と思われる行動がないと、よいキャリアはできない。

■ 多様な成長のために個人ができること
1. 日々の仕事のやり方や目線を変える: 例えば、日産自動車のエンジニアにとっては移動中の渋滞も気づきがあれば宝の山。一般ドライバーの気持ちを理解する絶好の機会という顧客視点で考えることができる。
2. 自分なりのテーマにこだわって自分で何かを仕掛け、立ち上げる: そこから人脈や社会関係資本(=裏の組織)の構築といった自分の成長を資するものが生まれる。
3. ネットワークに投資する: 例えば社外での講演を引き受けるなど。そこからよい偶然が生まれる(ハプンスタンスアプローチ)。
4. 仕事をプロフェショナル化する: 例えば顧客の半歩先を行って顧客の望んでいるものを自分から提案する、時代の流れを読んで、これから仕事で必要になるであろう能力を獲得する、これから拡大する分野にキャリアを振っておくなど。
5. キャリアチェンジする: 自分のキャリアは自分で切り開く。過去のキャリアを捨てるのではなく、経験を抽象化して普遍化し、新しい組織に必要なものは何かゼロから考える。
6. 働き方や雇用形態を変える: 例えばコンサルタント業で正社員から業務委託への変更、NPO事務局運営とボランティア・パートタイムの組み合わせ、スターバックスのシフトと放送作家の仕事の並行など。
7. ワークとライフを統合する: ワークとライフは相反するものではなく、統合できるものという前提に立つべき。私生活のなかで人間的に成長して仕事に役立て、仕事で成長して私生活を充実させる。沖縄への移住を伴う転職や、家族と一緒に暮らすための転職の例。

■ 健全なキャリア自立概念とは
1. 内的キャリア評価の重視: 昇格や昇給という外部のモノサシではなく、動機や価値観といった自分の内面にある基準でキャリアを評価する。
2. テーマやポリシーの重視: 職種名にこだわるのではなく、テーマとポリシーを持って主体的に今の仕事に臨んでパーソナルブランディングにつなげる。仕事とのマッチングではなく、日々の仕事のプロセスを重視して信頼を得て、自分の働きやすい環境にするチャンスにつなげる。
3. チャンスへの布石を打つこと: いまのような変化の激しい時代に、キャリアを管理、予測、計画することは困難。だから目標を先に決めて逆算するよりは、日ごろの仕事への取り組みを通じたチャンスへの布石が重要。
4. フェーズで考えること: 常に最適な働き方ができるのではない。ワークとライフのバランスや充電と放電、キャリアの拡大と深堀はフェーズで考えて、全体でバランスがとれれば良しとする。今あまりにも仕事中心なら次は生活に比重を置いてワークライフバランスをとるなど。

■ マネジメントスタイル変革の必要性
管理志向のマネジメントスタイルから脱却し、コーチングによる、問いかけるマネジメントが必要。ネスレはマネジメントスタイルを管理型からコーチング型に変革させるために、リーダーシップ開発のプログラムをスタートさせた。3年間で4500人が受講予定。マネジメントスタイルを変革するには十分な費用と時間をかけ、必ず上から手をつける。

■ マネジメントとリーダーシップ
著者はマネジメントを部下を使って課題を達成する能力、リーダーシップは部下でない、命令権限がない人を説得し、納得させ、協力を仰がなければできない課題を達成する能力と定義している。過去の日本企業の管理者はマネジメント能力は高くても、自分の部下でない人を動かす思考・行動特性は十分でない場合が多い。そういう人たちが部門長になると、部下を使って解決できることしかやらず、他部門と関わりあうような問題は権限がないのでできないと放置してしまう。この問題に対処するため、日産はクロスファンクショナルチームをスタートさせた。

■ 育成のための仕組み
部下を使った短期的な目標達成のプレッシャーが課されている上司だけに依存して社員の育成を考えるのは無理な環境が増えてきている。このため、キャリアアドバイザーの設置、部門ラインの人材開発会議による若手育成の検討、日本IBMのようなプロフェッショナル制度やバーニーズのセリング・スーパーバイザーのようなプロがプロを育てる仕組みも必要。上下序列のOJTだけではもう機能しない。

2006年6月10日 (土)

Why Men Lie and Women Cry? SUMMARY

20060527_whymenlie_3 女性の脳はmulti-tracking、男性の脳はmono-tracking。女性は男性にいちどにたくさんのことを言わない。男性がひげをそっているときやセックスの最中は質問しない。仕事を終えてぼーっとfire-gazingしたい男性に話しかけるのも効果的でない。

人は相手に出会って最初の4分間で相手に対する意見を最大9割形成し、容姿は10秒以内に評価される。生物学的な性のシグナルは無意識のレベルで機能する。美と性的魅力は本質的には同じもの。美の生物学的な目的は生殖を目的として惹きつけること。ある人が美しいとか魅力的だというのは、生物学的にはその人とセックスがしたいということ。

女性は愛する男性の外見は気にしないが、男性にとっては継続的な関係にある、愛する女性であってもビジュアルは大切。自分のために着飾らない女性には失望する。
There are no ugly women, only lazy ones.  (Helena Rubinstein)

男性の脳は空間能力の使用と問題解決が好き。狩猟で発達した男性の脳はスピードや角度、距離を計測する空間的な能力が優れていてそれを使用することに楽しみを感じる。これに対し、女性の脳は言語やコミュニケーションに優れている。

女性は相手との関係を保つために直接的には言わないで間接的に示唆しようとするが、この話し方は女性には理解されても、言葉通りにとらえる男性には理解できない。女性は男性には、スケジュール、議題、結論と期限などを明確にして一度にひとつのことだけを話すようにする。

女性が男性とコミュニケーションするときは、明るく、リラックスして、攻撃的にならず、直接的に何が不満なのか話す。要するに男性が男性に話すように、ビジネスのように話す。相手の言うことも聞くこと。「私は」を主語にして自分がどういう気持ちなのか正直に相手に話して批判は避ける。

女は好ましい相手に話しかけ、相手を罰するために沈黙を使うが、男は話しかけられるよりむしろ沈黙を好むため、問題があるなら黙っていてはダメで、直接的に言わないと男性には伝わらない。

男性は沈黙する(fire-gazing)ことで、女性は問題について話すことでストレスを発散する。

男性は好きなスポーツ・チームは宗教のように崇めるが、好きな女性には自分の感情を見せない。狩猟や敵との戦いの中で発達してきた男性は、相手の感情的欲求を理解しようとか満たそうという発想は無く、女性の気持ちに敏感ではない。言われなければ分からない。言われてもすぐ忘れてしまう。

2006年5月27日 (土)

Why Men Lie & Women Cry - Allen & Barbara Pease

20060527_whymenlie ■ Chapter 1: NAGGING
男性と女性の脳の領域を比較すると、女性の方がことばを話すときに使用する領域は大きい。女性は一度に多くのことをいっぺんに話す傾向があるので、基本的には一度にひとつのことしか理解できない男性には分かりづらい。

がみがみ言う女性は認められることを望んでいる場合が多い。コミュニケーションが上手くいっていないと「がみがみ」の原因になる。男性は相手の欲求不満を理解し、自分の方が優れた存在だといった態度をとったり、関係に怠惰になっていないか考えてみる。

女性は明るく、リラックスして、攻撃的にならず、直接的に何が不満なのか男性に話をし、相手の言うことも聞くこと。「私は」を主語にして自分がどういう気持ちなのか正直に相手に話すと、相手を批判することばかり言わずに済む。いちど要求と条件を提示したらそれ以上はがみがみ言わない。自己イメージを高める努力も大切。

■ Chapber 2: SEVEN THINGS MEN DO THAT DRIVE WOMEN INSANE
1.なぜ男は問題解決し、アドバイスしたがるのか?: 男性にただ話しを聞いて欲しいときには、「アドバイスが欲しいのではなく、ただ話を聞いて欲しい」と伝える。

2.なぜ男はリモコンでテレビのチャンネルを変えつづけるのか?: 男性にとっては仕事から帰って話もしないでぼーっとテレビを見ることがストレス解消の手段。ひとつの番組を本当に見ているわけではなく、「他は何があるのか」見ている。

3.なぜ男は道を聞こうとしないのか?: プライドが傷つくから。女性は男性にカーナビを買ってあげると愛される。

4.なぜ男はトイレのシートを下げないのか?: 昔からの習慣だから。

5.なぜ男は洋服などの買い物が嫌いか?: 8人に1人の男性は色盲。昔から女性のように着飾る性ではない。

6.なぜ男には他人から見て不快な癖があるのか?: オナラやゲップは男性だけがするものではなく、一般に女性の方が許容度が低いので女性は男性の問題のように感じている。男性はまた、オナラを楽しんだりもする。

7.なぜ男は趣味の悪い冗談が好きなのか?: 男性にとっては強い感情を示すことは弱みを見せることなので、感情的な事柄は冗談にして話をしがち。女はセックスそのものの話をするが、男はセックスをジョークにしないと話せない。

女性は男性の好ましい行動は感謝のことばや笑顔で誉めて、好ましくない行動は無視すること。何が好ましくないか男性に話すときには皮肉・批判的・攻撃的な態度は避ける。

■ Chapter 3: WHY WOMEN CRY
女性は自分が欲しいものが直接交渉で手に入れられると信じられるほど自己評価が高くないことが多く、目的達成のために相手の罪悪感に訴える「感情的脅迫」を手段としがち。感情的脅迫は強要であり、長期的には人間関係を破綻させる。

男性は自分自身の感情を扱うことに慣れておらず、感情的になった女性をどのように扱えばいいのかは分からないために、女性の涙による感情的脅迫の被害者になりやすい。男性は一般的には事実、データ、具体的現実に基づいた直接的な話し合いを好むが、セックスと経済的利益のためには感情的脅迫を使う。

感情的脅迫の被害者にならないためには、相手の言いなりにならないこと。相手の感情に理解を示す必要は無い。自分の限界を設定し、譲歩はしない。感情的脅迫を使ってくる相手とは議論しないで、その人を教育する。

■ Chapter 4: WOMEN’S TOP SECRET SCORING SYSTEM
女性のポイントは行動の重要性にかかわらず、1つの行動につき1点で、男性の些細な優しい行動はポイントが高いと考える。一方男性は高価なプレゼントや困難だった行動はポイントが高いと考えるが、車のドアを開けたり、コートをかけてあげることがポイントであるとは考えない。このため男性と女性の蓄積ポイントはずれてゆく。男性と女性のポイントシステムは異なることを、一般に女性は理解しているが、男性は理解していない。

■ Chapter 5: SOLVING THE SEVEN BIGGEST MYSTERIES ABOUT MEN
1. なぜ男は自分の友だちの個人的なことをあまり知らないのか?: 男は女のように人やその感情について話はしない。友達と過ごす仕事以外の余暇の時間はストレスから開放されてぼーっと過ごすfire-gazingの時間。

2. なぜ男はひとりの女性にコミットしないのか?: 男性は好きなスポーツ・チームは宗教のように崇めるが、好きな女性には自分の感情を見せないことが多い。種の保存という観点からも男性は複数の女性を所有することに意味があり、1度にひとりのこどもしか産めない女性とは異なる。ただひとりの相手とつきあうことは女性には自然なことだが、男性にはそうではない。また狩猟や敵との戦いの中で発達してきた男性は、相手の感情的欲求を理解しようとか満たそうという発想は無いため、女性の気持ちに敏感ではない。

3. なぜ男は全てのことについて自分が正しいと思いたがるのか?: 男のロールモデルはスーパーマンなどの正義の味方であり常に正しい。女性からアドバイスをされると、男性は間違いを指摘された、信頼されていないと感じる。女性は「私は」を主語にして自分がどう感じたかを話して批判的な言い方は避けること。

4. なぜ大人の男まで「おもちゃ」好きなのか?: 狩猟で発達した男性の脳はスピードや角度、距離を計測する空間的な能力が優れていてそれを使用することに楽しみを感じるから。男性は空間的な能力の使用と問題解決が好き。

5. なぜ男はいちどにひとつのことしかできないのか?: 男性の脳はmono-trackingだから。

6. なぜ男はスポーツがそんなに好きなのか?: 狩猟の代替として空間能力を使えるから。

7. 男はトイレでどんな話をするのか?: 話はしない。

■ Chapter 6: THE OTHER WOMAN – HIS MOTHER
母親は息子のために料理し、掃除し、洗濯してあげることで息子の将来の恋人との関係を破滅させてしまうことが多い。女性は男性の母親と、初期段階で関係を築く努力をするのがいい。後で3人で問題を解決するのはより大変。

■ Chapter 7: WOMAN’S SECRET WAYS WITH WORDS
1. なぜ女はよく喋るのか?: 女性の脳は言語やコミュニケーションに優れているから。女は好ましい相手に話しかけ、相手を罰するために沈黙を使うが、男は沈黙を愛する。問題があれば直接的に言わないと男性には伝わらない。

2. なぜ女はつねに問題について話したがるのか?: 女性は問題について話すことでストレスを発散している。

3. なぜ女は誇張するのか?: 話が面白くなるから。女性はコミュニケーションにボディー・ランゲージや声のトーンを使う。

4. なぜ女は要するに何が言いたいのか言わないのか?: 女性は相手との調和を保つため直接的には言わない。言葉通りにとらえる男性には理解できない。女性は男性には、スケジュール、議題、結論と期限を明確にして話すようにする。

5. なぜ女はささいなことを知りたがるのか?: 昔から、相手との人間関係を維持することが女性にとっては死活問題だったため、相手の細かなことまで知りたがることは女性の脳に深く刻み込まれた心理機能。

■ CHAPTER 8: WOMEN’S SEX APPEAL TEST
■ CHAPTER 9: WHAT MADE ROGER RABBIT’S EYES POP OUT

人は相手に出会って最初の4分間で相手に対する意見を最大9割形成し、容姿は10秒以内に評価される。生物学的な性のシグナルは無意識のレベルで機能する。美と性的魅力は本質的には同じもの。美の生物学的な目的は生殖を目的として惹きつけること。ある人が美しいとか魅力的だというのは、生物学的にはその人とセックスがしたいということ。

男性は初対面の女性には主にルックスが良いことを求めるが、長期的な関係では「性格(personality)」を重視する。ただし長期的な関係においてもルックスは男性にとっては2番目に重要。女性は愛する男性がどんな見かけかは気にしないが、男性にとっては継続的な関係にある、愛する女性であってもビジュアルは大切。自分のために着飾らない女性には失望する。ただし外見にのみ固執する男は自分自身にコンプレックスをかかえたつまらない人間なので注意。

男性にとって魅力的なヒップ対ウエストの率は70%。80%を超えると興味を失う。肉付きは良くてもヒップ対ウエストの70%を維持すれば男性は興味を示す。

女性の胸は大きくても小さくても男性は興味を示し、「谷間」好きである。

ハイヒールは脚を長く見せ、背中を反らせて体の曲線を強調する。男性はハイヒールを履いた女性が好き。

男性は12~14歳の少女のような童顔(おおきなきらきらした瞳とちいさな鼻)が好き。成熟した大人の女の体に12~14歳の少女の顔が男性にとっては理想。

男性がポルノに求めるのは男性の脳にアピールする形と曲線。写真に写った女性に個人的な興味を示しているのではない。

There are no ugly women, only lazy ones.  (Helena Rubinstein)

■ Chapter10: MEN’S SEX APPEAL TEST
■ Chapter11: MALE SEX APPEAL

女性は健康で強い男が好きだが、一方で感情的なニーズを満たしてくれる優しい男が好きで、ソフトとハードの両面を求める。女は男の顔よりは体を重視する。女は排卵時には体の均衡のとれた男(良い遺伝子)を好み、長期的な関係では自分との関係に投資してくれる相手(生活能力)を好む。

女性はハゲた頭を必ずしも嫌わない。またハゲはビジネス環境では権力と成功のイメージである。
女性にとって好ましい男性のヒップ対ウエストの率は90%。
女性は男性の性器を見て興奮するようには発達してこなかった。女性にポルノをマーケティングしようとする努力はみな失敗に終わっていて、男性の裸を喜ぶのはゲイの男性だけ。
女性は愛する男性の見かけを、(男性が愛する女性の見かけを気にするほど)気にしない。
経済的に自立した女性であっても、自分を守り、供給することのできる男性、社会的な地位を得ようとしている男性を好ましく見る。

A woman wants a man who is soft, caring, understanding and will communicate, but is also strong, rugged and masculine.  But she can’t have him.  He’s already got a boyfriend.

■ Chapter 12: DIES THIS OUTFIT MAKE ME LOOK BIG?
男と女は実際には同じくらい嘘をつくもので、男の方が嘘つきなのではない。ただし男は自分をよく見せる嘘をつくことが多いことに対し、女性は他人を傷つけないための嘘をつく。また男の嘘は露見しやすいので、より多くの嘘をついているような印象を与える。

人と対面して話をしているとき、そのコミュニケーションのために使用する脳の箇所は女性で16ヶ所、男性で4~7ヶ所。これが「女の直感」を作り出す。男性は女性に対面して嘘を言うとバレるので、電話かメールにした方がいい。

嘘をついている人は手で顔を触りがち。

嘘をつかれた場合、それが嘘であることが分かっても指摘しない。相手に近寄り、相手の身振りを真似たりして関係を構築し、嘘を言いにくくする。相手に逃げ道を残してあげる。冷静にふるまい、責めない。本当のことを言う最後のチャンスを与えてあげる。

■ Chapter 13: WHEN A HUNTER HANGS UP HIS BOW – RETIREMENT
男性の定年退職は、男性にとってはアイデンティティーの喪失という重大問題であり、女性にとってはそんな男性にどう対処するかという問題。

脳の構造が違うため、男にとっては定年退職は大変な問題だが、女性にとってはそうでもない。空間能力の使用と問題解決を好む男性の脳は仕事での達成に価値を感じている。これに対し、女性は人間関係に価値を置いており、女性のアイデンティティーは多面的なので女性には「定年退職」は無い。男性は最初は退職を否定し、うつ状態になり、怒り、最後にやっと受容する。男性は自分が重要な人間だと感じられることを強く望んでいる。

2006年5月19日 (金)

暴力に逆らって書く 大江健三郎往復書簡 朝日新聞社

20060520_bouryokuni ■ ギュンター・グラスとの往復書簡
国家がひとまとめにする戦死者の列から、遺族が(護国神社合祀を不当とする裁判などにより)家族を取り戻そうとする声が宗教の区別を超えて、大戦のすべての声と重なりうる可能性を疑わない。

脱走兵こそ、戦争の真の英雄だったのではないか。(ギュンター・グラスはドイツ国防軍の脱走兵が樹木にくびられている光景を、少年兵として見た)

世界中に広がる拒否だけが、そしていざとなったら反逆の勇気が戦争と核の脅威を終わらせるころができる。実務的な妥協では、人類の自己抹殺の加速された推移にもはや耐えられない。環境を破壊する濫伐・濫獲が原子力の妄想と肩を並べている。生徒を勇敢な子どもにする初等教育への願望を共にする。たまたま生き延びた私たち老人、気まぐれから戦争のお目こぼしにあずかり、自分の存在の偶然性を意識した私たちは、これからも責任を負わねばならない。

人類が生き延びうるなら、それはそのように決意したからだ(サルトル)

王様が裸であることをあきらかにする子どもの徳が、いままさに習慣とならねばならない。

■ ナディン・ゴーディマ(南アフリカの作家)との往復書簡
作家の主題はかれ自身の時代についての意識であるから、ある意味で作家は主題の方から「選ばれる」

いまや世界は巨大な暴力におおわれている。日本の子どもらへの暴力への傾向も、この国のものではない。世界中の子どもらが、感受の力と時代意識において、巨大な暴力をうつす鏡だし、小さなモデルでもあるのだ。かれらを向こう側に置くことはできない。われわれすべてが同じ側に立って、かれらの有形無形の訴えを聞きとり、かれらとともに暴力の根源へと立ち向かうほかにない。

(「サカキバラ」の事件など、子どもによる暴力的な殺人事件について)
殺人をおかした子どもたちにはある能力が欠けています。それは他人の肉体が被る痛みと死を感受する能力です。これこそ「少年たちの内面」で起こっている変化です。

自己の尊厳を大切にする誇りの力が子どもたちには本来そなわっているのなら、こうは言えませんか。この力は同時に、大人の男たちや女たちのなかにもまだ残されていて、ただ眠っているだけなのだと。この恢復する力を、私たちのこの時代状況のなかに、どのように解き放てばいいのでしょうか。

人間われらの正しさが悉く歓喜し発効し われらの星からの贈物となる日のきたるまで (オーデン)

近代化以降、日本人がアジアにおいて自己拡張するにあたって発揮した暴力や核兵器の巨大暴力をあわせ論じる人はいない。日本をおおう「空気中の暴力」がまずどのように醸成されたかをかえりみることは避けられている。

死、暴力、痛みの生なましさと重さをメディアの表現者は子どもだけでなく大人にも示さなければならない。また想像力を重視すること。死、暴力、痛みへの想像力を呼びさます表現をメディアがなしとげているか。(例えば文学作品を映像や音声で提供する)

子どもたちはかれらの生きている社会においてそこに実在する巨大な暴力をうつす鏡であり、また暴力そのものの小さなモデルである。

私はありのままに現実を見つめ、それでも希望を捨てない(ナディン)

■ アモス・オズ(イスラエルの作家)との往復書簡
もし希望があるとすれば、それは想像の力だということ。自分を相手の立場において想像できる力だ。

(中東和平について)何よりも忍耐だ。近道はない。

次の世紀の世界にもっとも切実に必要なものとして、寛容の精神がある

理想家は、妥協という言葉を嫌悪する。しかし人生には無数の妥協がついてまわり、妥協の反意語は潔癖ではなく狂信主義と死。

ユーモアのセンスを持った狂信主義者はいない。一番の危険は銃や爆弾、政府や軍ではなく人間の心。攻撃性、狂信主義、独善性、過剰な献身、想像力の欠如、人の話をきく耳を持たないこと、笑いの欠如、とくに自分たち自身を笑えないこと。ユーモアのセンスは相対主義を内包している。

小説は、作者と読者が連れだってゆく、恥ときまり悪さに満ちた領域への旅。

■ マリオ・バルガス・リョサ(ペルーの作家)との往復書簡
絶対的な真実があると信じることが、人びとの残酷さの源になっている。文学の重要な働きは、人間性の理解を深めること。良識や感性を養い、微妙な差異やあいまいさを察知する力を読者に伝えることで、狂信主義と対抗できる

日本が核武装することは絶対にあってはならない。アジアと世界に向けて長続きする平和構想を自立して作り出さねばならない。そのふたつが、次の世紀の最初の十年間は生きているはずの私の願いです。長い経験から徹底的な無力を自覚していますが、あきらめてはいません。

(大江健三郎の願いは)純真さ(イノセンス)という人間らしさへの信頼から出ている

(19世紀ブラジルで起こった宗教的反乱で共和国を相手に不可能に近い戦闘にかかわった「ライオン」は障害を持っていたが字を書くことができた)ペンと紙を使って生きることの意味を探しながら、孤独で困難な戦いをした者がいたのを知って感動した

■ スーザン・ソンタグ(アメリカの小説家)との往復書簡
同時多発テロは超大国への攻撃であって、自由に対する攻撃などではない

理想的には作家、真剣な作家のやることは精神的な死の状態と戦うことです。共同体の気楽な生活にたてつきながら毎日みずからの魂と、自己と自分の母国との関係を蘇生させることです。

(大江健三郎は「宙返り」の広告用のことばに、≪いま私は小説に、「魂のこと」をする場所を作りたい。それもリアルに≫と書いた。)
「魂のこと」とは、若者たちが、精神においても感受性においても生きる技術においても「真剣であること」をつらぬき、それらを統合しようとする時、現われてくる。「魂のこと」をする場所とは、そのための小さな共同体。私はこの国に「柔らかなファシズム(傍点)」の網がかけられる時、若者たちが国境の外へインターネットの窓をあける、そのような共同体を夢想します。

(小説家とは知っていることを書くものか、知らないことを書くものか?大江健三郎は「宙返り」で知らないことを書いた。)
次の四半世紀に、この国に「新しい人」が現れなければならない、と私は書きました。

(ドイツ外相ヨシュカ・フィッシャーの内省)
ドイツはこれ以上戦争とアウシュビッツを起こさないことをスローガンとして掲げてきたが、いま苦痛とともに自覚せざるを得ないのは、戦争それ自体がアウシュビッツを引き起こすのではないこと。場合によってはアウシュビッツを阻止するには、たったひとつしか方策がない。それは戦争だ。

文学の責務は良心と道義的な覚醒に向けて、不正に対する憤りと被害者に寄せる共感に裏打ちされた敏感さの拡張に向けて、目覚ましのベルを鳴らす工夫をすること。

作家という独自の意識のインターネット。世界をまたにかけて啓発、精神的滋養、思考や感情のモデルを探し求める境界線の無い文学と真剣さの共同体。ベネディクト・アンダーソンはすべての成員が顔をあわせて触れあうことのできる以上に大きな共同体は全て「想像の」共同体だと言った。

「魂のこと」をする場所は、まわりを取り囲むひどい文化と妥協と毒からひきこもる場所。ただし実際の場所である必要は無い。

パスカルが沈黙と呼んだ、人間以外のことどもの無限の大きさと無頓着さに気づく経験。

作家に期待するのは、複雑な見方を明晰に言葉で述べること、もっと大きな共感をもつよう、鎮魂の姿勢を整えるよう、エクスタシーをたたえるよう、駆り立ててくれること。

■ テツオ・ナジタ(シカゴ大学社会学部教授)との往復書簡
1726年の懐徳堂(身分制度にとらわれぬ商人たちの学問所)での最初の講義で三宅石庵は「仁」を《人間の寛容さ、同情、慈悲心の基礎》、「義」を《精確であろうとし、それゆえ公正で原則に基づくものであり、またそれゆえ恣意を排そうとする精神的な能力に関係している》、商人のもとめる「利」はそこから生み出される、やはり道徳的なものなのだ、といった

他者の苦痛をくみとる「仁」、フェアな精確さの「義」

自国の歴史を単純化せず、多様に、リアルに見る。懐徳堂の時代の豊かさ、その魅力的な知的構造体を学ぶことは、ポジティブな楽しみに満ちている。

中井履軒は、すべての人間の倫理的原則は、政治もふくめて己の知るところへの確信とそれに従っての行動にある、と強調した。「誠」とは、「言を成す」こと。

山片蟠桃は神である天皇が国の起源であるとする国学の主張をしりぞけ、非論理的でまやかしであると非難した。蟠桃は真実の知識のみを追求することこそ知的自主性と可能性の基礎となるという事実を思い出させてくれる。

安藤昌益は男も女も「人」としてすべて同一であるとして、急進的な理想社会<自然の世>を説いた。

日本の歴史は、比較の始点を加えることで、単に日本史として扱うよりも、はるかに深い意味が生じる。

人間の徳は「天」からのみ与えられるもので、政治的操作を超えている(荻生徂徠)

■ チョン・イー(中国人亡命作家)との往復書簡
強く悔恨し、それを倫理的な生き方の基幹におくこと。私は二十一世紀を日本において担う若い人たちに、この力こそを自分のものにしてもらいたいとねがいます。

(エミグラントとなるよう定められたことに感謝している)
《わが神に感謝しよう!あなたが誕生から死まで私を流浪の旅に出そうというのは、この啓示を与えるためであろうか?そして家もなく国もなく洗うが如き赤貧の私に文字ばかりを残したのもあなたなのだろうか?私はついに知ったのだ。象形文字は誰にもどうにも奪うことのできない私の永遠の祖国であることを。私がこの文字を背負って流浪しているのは、祖国とその苦難の史詩を背負っての流浪なのだ。かくの如き恩寵を賜った私に、さらにどれほどの孤独と彷徨があろうか?》

「懺悔」は宗教的「原罪意識」が源であり、「原罪」とは人の弱点に対する深い洞察。人は生まれながらにして罪を犯している。この世にひとりとして義人はいない。

原罪は外来のものだが仏教にもほぼこれと対応する「業」、すなわち前世に犯した罪という言葉がある。

私たちの世代の臆病、怠惰、想像力の貧困、連戦連敗により、国家は今もなお専制腐敗の暗雲に覆われています。

《権力の柱に小便を引っかけ、王侯の玉座を鋸でひく》 ギュンター・グラス

■ アマルティア・セン(インドの経済学者)との往復書簡
人はだれでも、「自ら価値を認める生き方をすることができる自由」をもち、そうできる「潜在能力」があり、開発とはその自由を増大させること

「9・11」の同時多発テロは、文明の衝突ではなく、「持たざる者」の「富める者」への怒りである

懐徳堂、経済と倫理を軸とした学問

社会の制約に妨げられず達成する自由

教育されることは自分の「問題」が全体のどこに位置するのかを教わること

人は思い込みや自分の作った機械の奴隷となりがち

日本は明治期に工業化を達成していなかったにもかかわらず、百年も早く工業化していたヨーロッパ諸国よりも高い水準の識字率をすでに達成していた

経済学と倫理を組み合わせようとする態度は、日本経済史の特筆すべき特徴

「ギーター」の道徳的な論争:アルジュナとクリシュナの対話
多くの人々が死ぬ戦争を深く懸念するアルジュナに、クリシュナは反論し、誰しも結果とは無関係に自分の義務を果たすべきだと主張する。一人の戦士として、あるいはアルジュナを頼りにしている陣営の将軍として、自らの義務の遂行から浮き足立ってははらないと。

《ご無事で(fare well)、とは言わぬ、進め(fare forward)、航海者よ。》 エリオット

■ ノーム・チョムスキー(アメリカの言語学者)との往復書簡
(チョムスキーは)少年時代、サマー・キャンプで広島で起こったことを聞き、それを祝う催しに耐えられず、ひとり森に入って夕暮れまで座っていた

(文明開化された同胞は)鎖に繋がれて享受する平和と安寧について、絶えず自慢する。
それを失った人びとからは蔑まれる唯一無二の財産のために、快楽も、安寧も、富も、権力も、さらには生命そのものまでも犠牲にする人びとがあること、また、自由に生まれついた動物が囚われの身を潔しとせず、檻の格子に頭から体当たりすること、また、専ら独立を保たんがために、群れをなす裸の蛮人がヨーロッパの人びとの官能的快楽を蔑み、飢えと、火と、剣と、死に耐えるのを目の当たりにすると、自由について奴隷が頭で考えることなど必要ないと感ずる。(ルソー「人間不平等起論)

アフリカに援助ではなく補償を呼びかける者が誰もいない事実は多くを物語る。ヨーロッパとアメリカが数百年にわたる征服と簒奪、隷属と略奪によってアフリカを破壊してきたことは周知のとおり。(アフリカ、ハイチ、ニカラグア、グアテマラなど、内政干渉を受けた国々は発展が遅れた。百五十年前の西アフリカと日本の状況に差は無かった。)

アメリカはかつて諸国が商業的利益の保護と向上のために海軍力を増強したように、利益と投資保護のために軍事行動による宇宙支配を展望している。

新古典主義的市場では、その「集票力(=市場にもたらす富または労働力)」に応じて評価され対価が支払われる。「集票力」を持たない者の利益は理想的な市場ではゼロと査定される。このような市場では例えばこどもは自らの価値を表現することができない。従って、将来の世代に及ぶ結果を無視した短期的な富の最大化が正当かつ合理的となる。このような「合理性」は病理だが、これは個人ではなく制度を評したもの。

想像力のみが子どもに他者の痛みを理解させる。起ころうとしている・起こっている《恐ろしい事実を考えること、ましてやそれに対して何らかの償いをすることができない》特権的な国の人間について、あなた(=チョムスキー)が嘆きと怒りをルソーとともにされる時、日本の知識人の現況について思う。私はこの国の若い人たちに、自立した知識人となることを求めたい。恥を自覚し、遠い場所での悲惨、まだ生まれぬ者らにとってのこの国を想像するために。

■ エドワード・W・サイード(アメリカ人思想家)との往復書簡
他者の考えに耳を傾ける人がいる限り、未来に希望はある

「イスラム」、何百もの異なる言語、多様な文化と伝統を持つ十三億もの人びとを人括りに表すには、単純すぎて意味のない言葉

「テロリズム」という言葉が、概念の内容も不明確なままに、気に入らないもの、邪悪な行為、当局の敵などを指して用いられているため、力の優勢を背景とした無頓着と破壊性が引き起こした抵抗や、自暴自棄の行為かもしれぬものが見えにくくなっている

アメリカ人の思考では、南アフリカの解放戦争とパレスチナとの類比や、ネイティヴ・アメリカンの恐ろしい運命とパレスチナとの類比は、断固としてありえない。これらの類比をつくり出すために、わたしたちはまず何よりも自分たちを人間として認識させる必要がある。

世界の多様な場所での具体的な「人間」の理解がどれほど困難か

イタリアの哲学者ジャンバティスタ・ヴィーコは、人間の精神は、神でなく人のものであるがゆえに、限界があり、過去やよその社会についての知識はすべて不完全で、精神そのものと同様の限界があるという悲しい宿命を負っていると気づいた。過去や他者を理解しようとする努力はすべて、実体ではなく、近時のものにとどまる定め。

強大な権力は知識と錯覚され、敵を捏造する(i.e.「ならず者国家」、「悪の枢軸」)。どの社会も外部の敵を必要とする。

■ ジョナサン・シェル(アメリカの反核運動化)との往復書簡
あなた方の心を、まだ生まれて来ない者たちだけに向けておくれ。(ウォレ・ショインカ)

2006年5月 7日 (日)

会社人間が会社をつぶす ワーク・ライフ・バランスの提案 パク・ジョアン・スックチャ著 朝日新聞社

■ワーク・ライフ・バランス
アメリカ経済の停滞を救ったのは、働く人が仕事でも私生活でも自分の人生を充実させることのできる、働きやすい環境を創出する、というワーク・ライフ・バランスの考え方。優秀人材のバーンアウトを防ぎ、満足度を上げてリテンションする。

ヒューレット・パッカードやインテルの成功例で「ワーク・ライフ・バランス」への取り組みは福祉プログラムからビジネス戦略へと変貌し、「私生活が企業を救う」という考え方を定着させた。

リエンジニアリングやTQMの考え方は企業側だけにメリットがあるのに対し、ワーク・ライフ・バランスではどのように仕事のやり方を変えれば企業も社員も満足することができるのかというwin-winな結果を目指したことが鍵になった。これを導入する経営戦略としては、まず、これまでとは違う哲学を基本に据えなければならない。人を雇うということは、仕事をする機械を雇うのではなく、心のある人間を雇うのだということを認識することから始まる。

ワーク・ライフ・バランスの取り組みプログラムで普及率や注目度が高いのは、(1)フレックス・ワーク、(2)保育サポート、(3)介護サポート、(4)養子縁組サポート、(5)転勤サポート、(6)EAP(社員援護プログラム)、(7)ヘルス&ウェルネス、(8)フレキシブル保険制度、(9)休暇制度、(10)教育サポート、(11)コンビニエンス・サービス(私的雑用代行業、コンシエルジュ・ビジネス)

■自己把握と自己実現のための演習
アメリカのあるコンサルタントは、「プロアクティブになるためには、毎朝15分早く起きなさい」と提言している。「15分早く起きて、1日の計画を立てなさい。そしてそれに沿って行動しなさい」

選択するということは、自己コントロールとも関係がある。私たちは意識的、無意識的に人生の中でいろいろな洗濯をしてきて、その積み重ねが現在の自分なわけだが、その現在をそのまま将来に持ち越していくのではなく、意識的に選択を変えていくことによって、自分も変えられる。

恐れとは、やらないための言い訳である。「これはできない」とは言わずに「やる」のか「やらない」のかをハッキリさせる。「やる」のなら「できる」と信じる。今のままじゃできないのなら、どうやったらできるかを考える。「やるべきだ」「やりたい」と自分をコントロールしていく。怖いと思っていることを実際にやってみる。もし一つの方法がうまくいかないときは創造的に他のやり方を考える。失敗を考えることにエネルギーを使わずに、同じエネルギーで成功することを考える。すべて完璧にやろうとせず、失敗から学んで成長する。

自分がやりたいことを実現するために何かを犠牲にするのは、コストだと考える。

未来の私との対話(ビジュアライゼーション): すべてに自分の望むとおりの人生を送った20年後の私は、私にどんなアドバイスをするか?

■サラリーマン川柳
(本文中たまに出てくるサラリーマン川柳が面白い。例えば以下。)
「さあやるか午後からやるかもう5時か」
「プロポーズあの日にかえってことわりたい」
「赤い糸やがて夫婦はコードレス」

2006年3月29日 (水)

「ビジネス・ゲーム」 ベティ・L・ハラガン著 福沢恵子・水野谷悦子共訳 2

この本は薔薇棘勉強会2月講師のムギさんこと勝間和代さんが影響を受けた本としてMLで紹介されたことでML内で話題になった。この本を翻訳された福沢恵子さんも薔薇棘メンバーだったこともあり、皆で大いに盛り上がった。

この本は「ビジネス・ゲーム」として出版され、数年後に「会社の掟」とタイトルを変えて同じ名前で出版されたが、現在は残念ながら絶版で、アマゾンでも中古でないと手に入らないらしい。

私は勉強会でたまたま福沢さんの正面に座っていたため、「薔薇棘文庫」として2冊ご提供いただいたこの本のうち、1冊を最初にお借りすることができた。去年11月に日経WOMANの野村編集長に「働く女性の24時間」をいただいたのも、やはり勉強会で向かいに座っていたからだった。やはり「いいにおい」のする人はすべからくそばに行ってみるのが良い。

MLで盛り上がったときに私が投稿した内容を記録としてこちらにもUPしておく。

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本当に面白い本ですね!
私が思ったことは主に2つあります。

ひとつ目は、この本が指摘しているような組織的な視点は、どんなキャリア希望を持っているにしろ、組織に働く全ての人が知っていた方が絶対に特だということ。特に、組織で評価されるのは、必ずしもパフォーマンスの高い個人、高品質の仕事をする個人ではないということを、こういう風にはっきりと教えてくれる本は貴重です。

「成果主義」って言葉は、実はまぎらわしいと私はずっと思っていました。会社って成果を上げれば認められるという単純な世界では無いですよ。この言葉にだまされるとズル人たちに使われちゃうかも。どんなにパフォーマンスが高くても構造的に評価されない人口は組織の中にいるのは事実です。

私は2年くらい前に、当時本部長だった役員に、わざわざ部屋に呼ばれて「説教」されたことがあるんですけど(笑)、その内容はまさにこの本の教えるところだったと思います。その時私が言われたのは、

(私の)仕事のスピードが他の人と違うことを気にしている。できてしまうから心配だ。ひとりで仕事をするな。周囲のパフォーマンスを上げられるような存在になれ。周囲を巻き込んで、飛び石効果の出るような仕事をしろ。物事は言い切ると誤解されるからコミュニケーション・スタイルを変えた方がいい。相互性のあるコミュニケーションを身につけて相手を納得させて一緒に仕事をしろ。

ということでした。ありがたいアドバイスだったと思いますが、忙しいのに何を考えてわざわざ部屋に呼びつけて私にこんな説教をしたのかは未だに不明です。特にコミュニケーション・スタイルについてはこの時以外にも、同じようなことを何度か言われました。曰く、

「つまり、こうですね」と決して自分から言い切るな。常に相手に「こうですか?」と聞いて、相手に言わせ(て相手の責任にし)ろ

と。彼は組織を生きるエリートだったなと思います。

上記の「説教」のときに、言われたことと、この本の関係で言いますと、この役員は、私の上司である女性のことを指して、「彼女も同じだ。できてしまうから心配だ」と言ってました。安易なステレオタイプは危険にして無意味だとは思いますが、女性は個人のパフォーマンスに拘りがちな傾向がある、または、周囲からそう見られやすい、ということは、この本も指摘するところですが、あるのかもしれません。この辺りは、反論も含め、他の方のご意見もぜひ聞いて見たいところです。

もうひとつ、私が思ったことは、とはいえ、このようなエリートな・上昇志向のものの見方は、当然ですが全てではない、ということです。組織の論理、ゲームの理論に偏重するのもリスクがあるんですよね。

例えば、組織が安定成長している間は組織の中で上手くやる、エリートなプレイヤーは重宝され、昇進もできるかもしれませんが、あんましそーゆーポリティクスばっかしやってると、組織が大きく変わる時とかには、あっさりお払い箱になるリスクもあることを指摘したいと思います。組織の風向きって結構変わるときは変わりますからね。

一方で、あんまし出世してなくて、政治にもあんまし参加しないハイパフォーマーというのは、実はジョブセキュリティーはすごくあるんです。本当に仕事やってるのは誰かというのは、実はみんな知っていて、組織がどんな風に変わってもニーズがある。

だからパフォーマンスとポリティクスのバランスというのも大事でしょうね。

ジョブ・セキュリティー以外にも、個人の「ハッピネス」という要素もあって、私なんかは組織でどう評価されようと、人生overallで幸せな人の勝ちじゃん、って思ってますけどね。2002年にノーベル化学賞をとった田中耕一さんの、「生涯一エンジニア」とか、まじで素敵だと思いました。出世が何だ(笑)。人に媚びず富貴を望まずという人生も当然アリです。

でも、この本は超オススメですよー!
特に薔薇棘メンバーのようなハイパフォーマーでしかもキャリアもある程度つみ、仕事についてご自分のお考えをお持ちの方々には本当に読んで欲しい!過激で痛快。次に読みたい人は私にメールを下さい。ご自宅もしくは職場に送りつけて差し上げます。

2006年3月21日 (火)

ビジネス・ゲーム ベティ・L・ハラガン著 福沢恵子・水野谷悦子共訳 1

自分の目の前の仕事だけに注意を向けるのではなく、組織のピラミッドの中で自分の位置を客観的に知らなくてはならない。組織の中で働くことは、常に周囲と競争すること。ひとりで完結するより周囲を観察する。そして周囲からどう見られているか的確に知る。

「やりがいのある仕事なら昇進なんてどうでもいい」、「収入より能力を生かしたい」という考えはあぶなっかしい。

スポーツなどに慣れた男性にくらべて女性は競争に不慣れだが、企業の中のゲームに勝ち残るためには、仕事をこなす能力以前に、状況を判断できる力、情報を収集する力が必要。

組織の中では、上司(権威)を敬い、口答えすることなく、従順に振舞わなくてはならない。上司の人格や能力は関係ない。ヒエラルキーの構造は抽象的かつ非人格的にできている。オフィスの中では効率より秩序優先。直属の上司を飛び越えて相談などしない。

直属の上司を操って、自分に有利になるように導く。それが難しい場合は転職も考える。

自分に与えられた機能や責任の範囲を越えて仕事をしてしまうことには十分慎重に。組織の中では「自分の仕事」をすることこそが大切。自分のやるべきことをやらずに他のことにまで手を出しても決して成功にはつながらない。「劣ったプレイヤー」とみなされるだけ。女性は、必要以上の責任はしょいこまないよう注意。便利屋さんにならない。雑用をたのまれたらおそろしく不器用にこなす。

会社では必要以上にたくさんの仕事をこなすと仕事の相対評価は下がる。8時間のうち、真面目にやるのは2時間くらいにしてあとはいいかげんに働き、会社から仕事の量を増やせと言われたら残業代を稼ぐ。余計な仕事は引き受けない。どんなに雑事をやったところで会社はその評価はしたがらない。

秘書的な仕事はピラミッドの外に位置していてそもそも競争のゲームに参加できない。

スポーツマンは「負けても必要以上にがっかりしない」ことをトレーニングする。失望、落胆、困惑、非力、批判にどう対応するかを学ぶことは人生の上で欠かせない技術。

少年たちは仲間に協力することを、ゲームを通じて学ぶのに対し、女性は自分のキッチンに他人がいることに我慢ならない。

男性は女性を、母親、姉妹、妻、娘、もしくはガールフレンドか娼婦のいずれかにあてはめなければ相手を認識できない。そうであれば、会社では娘か母親の役割になるのが安全。娼婦は尊敬されない。相手の頭の中にあるステレオタイプを利用して自分に有利な人間関係を形成する。例えば、男性は娘や母親になら会社の機密も話す。

会社で昇進すれば様々な可能性があり、楽をしてたくさんの収入とパワーを手に入れることができる。

組織で欲しいポジションを手に入れるために必要な資質は、忍耐強さ、周到さ、そして周囲の状況を正しく見極める力。

自分のやっている仕事を管理職の視点で客観的に眺めて、どれが会社にとって重要か考えることをキャリアの足がかりとする。たくさん仕事をすればいいのではない。

スペシャリスト(人事、法務、財務)よりライン(営業、生産)に昇進の機会がある。

同世代の女性の同僚とは手を結んでお互いの弱点を補い合う努力をする。非協力的な人は放っておけばそのうち脱落してゆく。

昇進した男性はどのような行動をとったか、昇進を望んでいる男性はどのような行動をとっているかを見る。

「やりがいのある仕事」を求めて転職してもムダ。キャリアとは仕事を続けてゆくこと。やりがいを求めて目の前の可能性を捨ててしまうのはもったいない。

自分の会社の社長はどのようなことを優先しているか、女性の登用についての考えはどうか?登用されない会社なら見切りをつける。

エキスパートになりすぎることは決して仕事の可能性を広げない。常に不満を述べて、異動できるよう働きかける。うるさがられても、自分の欲しいものを手に入れた方が結局は勝ち。

組織のシンボル(例えば制服、役員用の食堂など)は決して馬鹿にしてはいけない。使える特権はできるだけ有効に使う。

与えられた仕事をすばやくこなしながら、必要以上にイライラせず、安定した精神状態でいること。

仕事のファイルは自宅に保管し、転職のときの資料とする。

社内のメモは内容よりどう回覧されるかに注目する。不快な内容のメモには一切反応しないで放っておく。

家事を誰かに任せるなら妥協する。任せるからには小さなことには目をつぶる。

アサーティブであるとは、自分の欲しいものはしっかりと手に入れ、しかも相手に反感を与えないこと。毅然と行動するが、周囲の脅威とはならないことをアピールする。

管理職になったら、自分自身がどうであるかよりも、周囲の状況に通じていることが何よりも大切。自分がいかに頭がよくて有能であるかを見せつけるようなことはしない。それより部下が何を考えているか知る。

本当のところ、ほとんどの仕事は同じことの繰り返しでつまらない。仕事に興味を持ちつづけるには長期的な目標を設定して働き続けること。仕事をゲームと考えることができれば、一見繰り返しのように見える仕事もそれなりに興味深い。

2006年1月 3日 (火)

「妹たちへ」日経ウーマン編

20060521_imoto 池田理代子(劇画家・声楽家)
このところの打ち続く不況で、人々が夢を持てなくなっているなどということが言われる。しかし、私は思う。
不況のために、お金がないために持てないというような夢など、所詮はお金で買える夢に過ぎない。
夢とは、本当は志の高さなのではないだろうか。だからこそ夢は美しく尊いのだ。

小池真理子(作家)
自分から目をそらさず、自分自身を見つめる強さがあってこそ、人は人間として深みを増す。何をしたか、ではない、何をどう見つめ、どう考えたか、なのである。そうやって見てみると、年錬を重ねても美しい女性にはおしなべて、その種の静かな強靭さがあることに気づかされ、私もまた、そういう人たちによって励まされ続けてきたことを思い知るのである。

幸田真音(作家)
ビジネスの現場で成功する秘訣は、「ユーズ・ユア・チャーム」。

プレッシャーを楽しむこと。「ハヴ・ファン」。
パニックになると全体が見えなくなる。
忙しければ忙しいほど、状況が困難であればあるほど、「Have fun!」

潮谷義子(熊本県知事)
リーダーとして、まず最初にするべきことは「傾聴」だと思います。

自分の欠点を意識すること。それがリーダーの必要条件ではないでしょうか。自分の限界を知ることは諦めではなく、万部ことの始まりだと思います。

垣根をこえた連携によって専門と専門がハーモニーを醸し出す。それが大事なのです。

(施設のこどもは、自分の価値観で判断するのではなく、その子が入所したいきさつを理解し、子どもたちは十分がんばってきたことを理解し、愛や信頼を伝える。部下にも同じ。)

RUMIKO(メイクアップアーチスト)
アイデアが閃くのは、シャワーを浴びているときとか、夜寝るとき。だからシャワーの横とベッドの脇には、思いついたときにいつでもメモできるように、ノートを常備してあります。

南場智子・ディーエヌエー代表取締役社長
(起業して年収は激減、起業した翌年には貯金ゼロになり、実家への送金も滞った南場さんに、お父様からの手紙と小切手が届く。)

「陣中見舞いとして贈呈
私生活の貧乏は貴重な体験としてプラス思考で真摯に処されたし。
間違ってもお金のことで公私混同しない事。
生き甲斐は処した困難の大きさに比例する。
父より」

(このお金で南場さんはご両親への送金を再開された。)

宇津木妙子・アテネ五輪女子ソフトボール監督
私のノックに女の涙は通用しない。もうダメと本人が根を上げるところから追い込んでやることで、本人が勝手につくっている限界のレベルが上がっていくと信じている。もう少し頑張れば届くところにノックを打ち続けてやると選手は成長する。

グラウンドであれだけ厳しくやらせてもらっている以上、私は勝ったときは選手のおかげ、負けたときはそこまで選手にやらせておいて、勝たせてやれなかった監督の責任だと思っている。

ソフトボールという競技は、どんな体型の人でも活躍できる機会が等しく与えられる競技だ。・・・チーム内での自分の役割を理解させた上で、自分の欠点を得意なところでカバーできるように育ててやれば、その選手ならではの持ち味を十分生かしてやることができる競技なのである。

(日立製作所の高崎工場のコーチとして)選手以上に走り、一分間に四十本のノックを打ち、体を張って選手たちとの勝負に挑んだ。女性が監督を務めたのは実業団では初めてだった。男性からは「監督業は女には無理」と嫌がらせも受けたが、私には理想と信念があった。男性の監督のように、でんと座ってタバコをくゆらしながら選手に指示を出したりはしない。「よくやるよ」といわれながら、いつも率先して動いた。高い目標を掲げても、リーダーが情熱を持ってそれに挑戦していなければ、部下は動かない。

(体調の悪い選手には、他の選手から特別扱いに見えないように、小さなミスを強く叱ってみんなの前で立っていろと一喝し、休ませる。)もちろんそんな真意は選手には分かるはずもない。監督に腹を立て、いつか見返してやると思ってくれれば、それでいい。物分りが良く、いつも優しい監督のもとでは、ひ弱な選手しか育たないのだ。監督をしているときはすかれなくていいと腹をくくっている。やるか、やられるかの緊張感の中で全力を尽くしているうちに、人はタフな強さを得て、成長してゆく。

スター選手ほどきちんと叱ってやらなければいけない。周囲がちやほやして、何も言わなくなると、どんなに優れた選手でも伸び悩んでしまうときがくる。叱って、追い込んでやらないと、もう一段上の力は出てこなくなるのだ。

人と比較するな。大切なのは自分を出し切ること。

ソフトボールを一生懸命頑張ったおかげで、今がある。すべてのことに感謝したい。

「下流社会」 三浦展/著 光文社

■幻のミリオネーゼ
「働く女性の24時間」でも、年収1000万円以上は働く女性全体の0.4%というデータに衝撃を受けたけれども、「下流社会」でも、ミリオネーゼという分類はいちおうされ、その実在は確認されてはいるものの、本に使われているデータでは、クラスタとして数字に現れないほどの存在であることを、また驚きとともに読んだ。

そうだとすると、今まで私は大きな勘違いをいくつかしていた。

ひとつは、ちょっと前に流行った、それなりにキャリアを持ってお洒落なシングルライフを謳歌している「負け犬」像は、実在はするものの、現代女性の多数を代表する存在とはとても言えない、ということ。

もうひとつは、三砂先生の「オニババ化」の警告の意味。あれはごく少数の負け犬やミリオネーゼに向けて発信されたものではなく、もっと、特に頑張ることもなく何となく流され気味に生きている多数に向けて書かれたものだということの意味が、今回やっと、分かった気がした。

■成果主義
今ほとんどの企業が導入を進めている成果主義は、年功序列の恩恵を全く浴することのできなかった女性には支持されているというのがこの本の調査の結果で、私も短期的には女性が登用されてゆくには、成果主義の方が有利だろうと思う。

ただ、以前から考えていた通り、長期的に考えた場合には成果主義にも疑問は残るなとこの本を読んでまた思った。成果主義を徹底した人事制度は、上に行けば行くほど、いつ落とされるかと心配し続けないといけない、本当に殺伐とした恐い世界を作り出す。そんな世界に参加したくない、と中流や下流に脱落してゆく人たちってむしろまともなんじゃないかと思ってしまう。私自身、制度の企画をしつつ、自分は戦線離脱を決め込んでいる。

この本を読んで一番不安に思ったのは、成果主義が上流、中流、下流の階層を越えたエネルギーの交換の仕組みとしては機能しないだろうということ。成果主義はせいぜい正社員層の上流と中流を分ける程度で、派遣だのバイトだのしている人にまでは直接範囲になりにくい。しかも成果主義は、もともと企業が人件費の選択と集中のためにやってることなんで、落とす仕組み(無能な管理職からのポストと給与の剥奪、みたいな)という性質も強く、それほど積極的に才能を登用する仕組みとは言えない。

今まで全く登用されてこなかった女性は、当然ながら成果主義で落とされる心配は殆ど無く、一時的にはむしろ登用が期待できるとは思うけれど、長期的にこういう殺伐とした制度の中で会社のために成果を出し続け、走り続けることを望む人がどの位いるのか、男女を問わず、私には疑問。

■機会悪平等
本では、淡々とデータを紹介・分析し続けた後に、最後にほんの少しだけ、著者の意見として、上流、中流、下流を固定化しないためには機会悪平等が必要なんじゃないか、そのためには、という提案があってその部分はとても興味深く読んだ。

中でも、大学の授業をインターネット配信すればいいみたいな著者の提案はいいなと思った。私の仕事でも最近、電話会議がビデオ会議や電話+パソコン画面を共有しながら行う会議に変わりつつあって、このような変化がコミュニケーションの効率を向上することは本当にエキサイティングだと思う。

企業の成果主義にしても、何年か後にはトレンドの揺り戻しが来るんじゃないかと予測している人事コンサルの書いた別の本を最近読んだ。具体的にはアメリカで既にそうなってきているように、給与ではなく、「働きやすさ」みたいなものがもっと重視されるのではないかという考え方。階層とかパフォーマンスを問わずに会社のオペレーションに、様々な才能や様々な能力のレベルの人にもっと参加してもらう必要があるというトレンドに、近い将来変わる必要があるんじゃないかという感じは、この本からも受けた。ただ、現在の厳しいコストプレッシャーの中で、どこで現実的に、そういう考え方の変化のきっかけをつかむことができるのかなとも思う。