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2009年7月25日 (土)

第二講 作戦編 – 7

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ゆえに兵は勝つことを貴ぶ。久しきを貴ばず。ゆえに兵を知るの将(しょう)は、生民(せいみん)の司命(しめい)、国家安危(あんき)の主(しゅ)なり。
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戦争は勝たないとダメ。だらだらやらない。戦争をよく知っているミドル(将)は、国民の生命、国民の安危をつかさどっている。

第二講 作戦編 – 6

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ゆえに敵を殺す者は怒(いか)りなり。敵の利(り)を取る者は貨(か)なり。ゆえに車戦(しゃせん)に車十乗已上(いじょう)を得(う)れば、そのまず得たる者を賞(しょう)し、しかしてその旌旗(せいき)を更(あらた)め、車は雑(まじ)えてこれに乗らしめ、卒(そつ)は善くしてこれを養わしむ。これを敵に勝ちて強(きょう)を益(ま)すと謂う。
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敵は殺さずに、投降させるのが当時の戦争だった。どんどん投降させるのも戦略のひとつだった。だから敵は殺さない。つい殺しちゃうのは良くない。怒りで殺してしまうことには注意する。敵の軍費をとるのがいい。戦車戦で10台とった人がいたら、すぐに褒美をやる。褒美をやるのに、あとまで待ったり、ケチることはしない。勝ったら褒美をもらえることが、先に皆に分かるようにする。戦車の旗を変えて自軍のものにし、敵の兵卒には倍の給料ぐらいあげて手厚くする。ただ勝っただけじゃなく、自分の兵を強くする。

第二講 作戦編 – 5

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ゆえに智将(ちしょう)は務めて敵に食(は)む。敵の一鍾(しょう)を食むは、わが二十鍾(しょう)に当たり、秆(きかん)一石(せき)は、わが二十石(せき)に当(あ)たる。
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現地調達には、20倍の効果がある。

▼ 一鍾(しょう) = 食料
▼ 秆(きかん) = 牛馬の飼料

第二講 作戦編 – 4

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国の師に貧(ひん)なるは、遠く輸(いた)せばなり。遠く輸(いた)さば百姓貧(まず)し。師に近き者は貴売(きばい)すればなり。貴売(きばい)すればすなわち百姓(ひゃくせい)は財竭(つ)く。財竭(つ)くればすなわち丘役(きゅうえき)に急にして、力屈(くっ)し財殫(つ)き、中原(ちゅうげん)のうち、家に虚(むな)しく、百姓の費、十にその七を去る。公家(こうか)の費、破車(はしゃ)罷馬(ひば)、甲冑(かっちゅう)矢弩(しど)、戟楯(げきじゅん)蔽櫓(へいろ)、丘牛(きゅうぎゅう)大車(だいしゃ)、十にその六を去る。
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国が大群を派遣したために貧しくなるのは、遠くにいるから。商人は軍に物を高く売り出す。そうすると、物価が上がって国民が困る。国民を幸せにするためにやってるのに、国民は困窮する。財が無くなれば、国民は税を徴収される。力も財も無くなると、国力が無くなってゆく。国力とは、国民の健康と、一軒一軒の家の蓄え。日銀とか大蔵省の金庫なんて大したことない。百姓のお金の10のうち7無くなってしまう。戦争はこわいこと。そんな簡単にはしない。戦争の道具をまかなっていると、6割のお金が無くなってしまう。それで何で戦うのか。

▼ 師 = 大軍
▼ 貴売(きばい) = 高く売ること

2009年7月20日 (月)

第二講 作戦編 – 3

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善(よ)く兵を用(もち)うる者は、役(えき)は再びは籍(せき)せず、糧(りょう)は三(み)たびは載(さい)せず。用(よう)を国に取り、糧(りょう)を敵による。ゆえに軍食(ぐんしょく)足るべきなり。
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だから戦争を知っている人はぶざまなことをしない。2度も3度も徴兵しない。食料も3度も送らせない。田舎から来た学生が送金を要求してるんじゃないんだから。バイトして自分でやる。戦争やビジネスも、現地で稼いで使う。

第二講 作戦編 – 2

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その戦(たたか)いを用(おこ)なうや久しければすなわち兵を鈍(つか)らせ鋭(えい)を挫(くじ)く。城を攻むればすなわち力屈(つ)き、久しく師を暴(さら)さばすなわち国用(こくよう)足(た)らず。それ兵を鈍(つか)らせ鋭を挫(くじ)き、力を屈(つ)くし貨を殫(つ)くすときは、すなわち諸侯その弊(へい)に乗じて起こる。智者ありといえども、そのあとを善(よ)くすることあたわず。ゆえに兵は拙速(せっそく)なるを聞くも、いまだ巧(こう)の久(ひさ)しきを睹(み)ざるなり。それ兵久しくして国の利(り)する者は、いまだこれあらざるなり。ゆえにことごとく用兵(ようへい)の害を知らざる者は、すなわちことごとく用兵の利(り)をも知ることあたわざるなり。
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孫子の要点。「拙速」とは、準備ができていないという意味ではない。戦うことではなく、勝つことが重要。ビジネスも新商品出すより勝たないと。なかなか勝てない場合、部隊を鈍らせてしまう。戦闘力も無くなってゆく。城なんて攻めちゃいけない。城は落ちないように作られており、向こうが数倍の軍事力を持っている。ビジネスも向こうの本丸では戦わない。ずるずるやると国家の体力も軍事力も低下する。だから戦争は早く勝って終われ。それを繰り返せ。そうしないと主導権が握れない。

「拙速」とは早くやって勝てということ。徒競走で、もうピストルが鳴っているのに、まだ靴ひもが結んで無いとか、準備とか言っている場合じゃない。論争でも、最初にばーっと言っちゃうのがいい。準備したから勝てるんじゃない。長く戦って国に利を与えることは無い。勝ってもボロボロでは復興も大変。戦いの害を知らない者は戦争の利を国に与えることはできない。

▼ ゆえに兵は拙速(せっそく)なるを聞くも、いまだ巧(こう)の久(ひさ)しきを睹(み)ざるなり。 = 孫子の要点。早く勝てということ。
▼ ゆえにことごとく用兵(ようへい)の害を知らざる者は、すなわちことごとく用兵の利(り)をも知ることあたわざるなり。 = 「ことごとく」が2回繰り返されている。孫子は文学じゃないから1字1字に意味がある。全部知らないと老練とかベテランとか言えない。年輪、経験、すみずみまで目配りできるのが大切。

第二講 作戦編 – 1

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孫子曰く、およそ兵を用(もち)うるの法は、馳車(ちしゃ) 千駟(せんし)、革車(かくしゃ)千乗(せんじょう)、帯甲(たいこう)十万、千里にして糧(りょう)を饋(おく)るときは、すなわち内外の費(ひ)、賓客(ひんかく)の用、膠漆(こうしつ)の材、車甲(しゃこう)の奉(ほう)、日に千金を費(ついや)して、しかるのちに十万の師挙(あ)がる。
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海外戦略を言っている。戦争を上手くやるには、輸送部隊が必要。例えば兵士の靴が無ければ戦力が落ちる。着るものとか、メガネとか、何でも補給部隊=ロジスティックスが必要。戦車が千台なら、その要員、服のつくろい担当、其の他全部合わせて10万人が千里の遠くにいると、戦地に送る費用が大きくなる。また戦争のポイントは勝っているときに終戦を迎えることだから、勝っている時に第三国に調停してもらうには、日露戦争の時のルーズベルトのような、割って入る人が必要で、そうすると外交費用もいる。そうすると、全体ではとても費用がいる。それでやっととどこおりなく10万の軍が動ける。つまり、戦争とは財政であるということ。

▼ 馳車(ちしゃ) 千駟(せんし) = 輸送部隊
▼ 賓客(ひんかく)の用 = 外交費用

「孫子」について

孫子は中国古典でも特殊な位置づけ。

中国古典といえば、まず儒家の思想がある。社会の中に居て、人間関係を上手く取り仕切ってゆく考え方で、順境のときは儒教が良い。改善は要求するけど、現生・現行肯定なので、ちょうどトヨタ自動車みたいな感じ。施政者には都合の良い考え方。今の時代もそうだが、イデオロギーで治めるのは難しい。それより思想哲学。それが分かっていた家康は慧眼である。

次に道家の思想があり、老荘思想と呼ばれている。老荘思想は現生肯定だけれども、現行の政治は否定する。従って、革新(イノベーション)を要求している。京都・金沢の老舗の「100年会」のアンケート結果を見ても、100年の老舗を続けるのに必要なのはイノベーションという結果が出ている。

3つ目が武教書。孫子はここに分類される。戦略書として有用なため、ビジネススクールで教えるのがブームになった時もあった。フォード、スローンの戦略書は、クラウスヴィッツの戦争論から来たもの。そのクラウスヴィッツは孫子から来ており、戦略論の原点と言える。

4つ目が韓非子とかの法家。最初の法治国家をつくった始皇帝は儒教が嫌いだった。

なぜこの4つが残ったのか?
BC770年~221年の550年の間には、いろんな論法があった。不要なものが捨てられ、2500年の厳しい選択に耐えた中国古典は相当凄いもの。今の思想が、今後2000年の選択に耐えられるか。

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