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2008年10月13日 (月)

儉武第三十

以道佐人主者、不以兵強天下。其事好還。師之所處、荊棘生焉。大軍之後、必有凶年。善者果而已。不敢以取強。果而勿矜。果而勿伐。果而勿驕。果而不得已。果而勿強。物壯則老、是謂不道、不道早已。
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道をもって人主を佐(たす)くる者は、兵をもって天下に強くせず。その事好く還る。師の処(お)る所には、荊棘(けいきょく)生ず。大軍の後には、必ず凶年あり。善なる者は果なるのみ。あえてもって強を取らず。果にして矜(ほこ)る勿(な)かれ、果にして伐(ほこ)る勿(な)かれ、果にして驕(おご)る勿(な)かれ、果にして已むを得ざれ、果にして強なる勿(な)かれ。物壮(さかん)なればすなわち老ゆ。これを不道と謂う。不道なれば早く已(や)む。
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果実を育てるのに人にできることは見守るだけ。それを忘れないで、全部そういうものと思わないと。ぷーっと吹いて大きくなるんじゃない。

道の働きで自分の主人を助けるのに、「腕ずく」はしない。力づくは必ずその報いが返る。大軍がいた後は田畑も荒れて凶年になってしまう。何とか力づくでやってもその後の報いがひどい。孫子の兵法は戦わずして勝つのがいい。相手の街を焼き尽くし、勝ったら占領しないといけないから、復興作業が必要ですごくお金がかかる。力づくだと、勝ってもやっかい。

本当に善なるものは、自然の力、神の力で果実はできたと考えるから、虫を取ったりはするけど、そのものには手はふれない。こどもには「早くしてー」だとダメ。見守ってやるといい。強引にやらない。果実がたくさんできても、自分がやったんじゃないから誇らない。

江戸は神社の街。稲荷神社、熊野神社が多い。いなり=「稲なり」で、農作業は神人共作と考えられていた。神の力を得たいなら、田畑や家をきれいにしないと、神が降りてこない。力づくで何かしようとしてもダメ。それをしようとすればするほど老いる。自然の力を活かさないのは道に外れているから早く滅びる。

▼人間は自分の中に自然を持っているからそれを大切に。「こうならないといけない、でもなれない」という矛盾に人間は苦しむ。「自ずと然り」とこどもに教えることが大切。病気のもとはみんなこの矛盾。

▼ちゃんと話をするのは重要。教師の集まりで、こどもに「ババア」と言われた教師がどうすればいいか相談したところ、経験の豊かな教師は、静かなところで、その子とふたりきりのといに、「自分はあなたにババアと言われて、本当に悲しい」とちゃんと話せとアドバイスしていた。会社でも10回に1回は言ってもいいかも。

無爲第二十九

將欲取天下而爲之、吾見不得已。天下神器。不可爲也。爲者敗之、執者失之。故物或行或隨、或呴或吹。或強或羸、或載或隳。是以聖人、去甚、去奢、去泰。
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天下を取りてこれを爲(をさ)めんと將欲(しょうよく)するは、われその得ざるを見るのみ。天下は神器、なすべからざるなり。爲(をさ)むる者はこれを敗り、執(と)る者はこれを失う。故に物あるいは行きあるいは随(したが)う。あるいは呴(く)しあるいは吹(ふ)く。あるいは強めあるいは羸(よわ)む。あるいは載せあるいは隳(おと)す。ここをもって聖人は、甚(はなは)だしきを去り、奢(しゃ)を去り、泰(たい)を去る。
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力ずくとか腕ずくとかはいかに危険か悟れ。戦後の日本の価値観は、「力いっぱいやる」とか腕力を評価しすぎ。それだとある所までは行くけど成就はしない。

「こうせい、ああせい」も10のうち5ならできる。でも10はできない。それは自然に反するから。人の力の及ぶところはちょっとで、自然の力がほとんど。努力はした方がいいけど、自然の力を呼び込むような努力をする。

天下が取れるのはひどくめずらしいこと。会社で自分の部を持ったら思い通りにしようと思うのは大間違い。それだと上手く行ったのを見たこと無い。この世は神が動かしている。一個人が動かすことはあり得ない。人は自然にひれ伏すくらいでないと。おさめようとしても失敗する。執着すれば失う。

自分が上司だから部下を思い通りにしようと思えば思うほどダメ。部下は態度に表さなくても心は離れてゆく。前へ前へと思うほど遅れる。手をあたためようと息を吹きかけすぎると逆に寒い。強くしようと思うと弱くなる。載せようとすると落ちる。それは自然の力を活用していないから。

赤ちゃんを抱くときは力を入れても、入れなくてもダメで、ほどよくしないと。自分と自然の空気との合作がいい。力が入れば入るほど失う。

自然の力は人間の力の比ではない。これを活用するとすごく上手く行く。活用するコツは、何でもほどよくすること。「甚(はなは)だしきを去り、奢(しゃ)を去り、泰(たい)を去る」のがいい。微妙だから、荒っぽくしたらダメ。

▼名人は自然の力の活用が上手い。武道、柔道は「空気投げ」とかある。小さな人が大きな人を投げ飛ばせる。現代人は自然の力の活用が眼中に無い。できるようになっているのにやらないで、力づくでやろうとする。

▼人間は微妙にできている。楽器だってガラス工芸だって微妙だけど、人間が一番微妙。気をよむことは立ち向かわない。いなす、かわす、やりすごす、受け止めない方がいい時もある。何回か失敗すると分かる。失敗を重ねた後に微妙な扱い方が分かって面白くなる。

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