セルフトーク・マネジメントのすすめ 鈴木義幸著
■「許せない」から「何があったんだろう?」へ
著者がコーチングをしていたある事業部長は、期限を守らない部下を前にすると、「許せない」という内側のセリフがスイッチになり、怒りの大爆発を起こしていた。このセルフトークを、「何があったんだろう?」に変えたところ、大爆発が起こらなくなった。
■自分のためではなく、相手のために何ができるか考える
ボストンフィルハーモニー常任指揮者のザンダーは、コンサートに招待したのに遊びに行ってしまった音楽学校の生徒に怒っていたが、妻から「リーダーはいつも試される。リーダーは3つの選択肢の狭間で揺れている。一つ目は相手を説き伏せてしまうこと、二つ目は妥協することで、大抵のリーダーは一つ目か二つ目しかやらない。三つ目の選択肢は相手の可能性を拓くことで、これを常に選択し続けるリーダーは大きな成功を手にしている」と言われた。
後日ザンダーは、コンサートに招待した意味や意義を事前に説明しなかったことを生徒たちに謝罪し、今後は事前に説明するようにすると話した。その後生徒たちは招待されたコンサートには必ず出席するようになった。
どうすれば相手の可能性を拓くことができるのか考えることは自分の可能性を拓くことにも通じる。
■セルフトークのマネジメント
セルフトークは、感情的なものから理性・思考的なものに変えて使うか、ネガティブな(感情的な)ものであれば減らし、なくすことでマネージする。ネガティブなセルフトークが無くなると、「ゾーン」と呼ばれる完全に集中した状態になれる。
■セルフトークを変えるには
「この会議を建設的なものにするために、何ができるだろう」のようなセルフトークは、自分はクリエイターであり環境に働きかけてゆくことができるというスタンスを生む。
「この人が生まれたときに、にっこり笑った両親がいる」と感じられると相手が自分を悩ませる単純な人間ではなく、重層的な人として現れる。
「この人はなぜこんな態度をとっているのか?」と相手の背景を探る。
視点を変える。自分の能力が高くなれば、エベレストのように大きく感じていた問題も、近くの丘くらいに感じられるようになる。
■自分の「アイデンティティ」に固執しない
アイデンティティとは場に応じて変えてもいい「役割」という認識を持って固執しない方がネガティブなセルフトークが発生しない。
あまりこだわると少しでも部下に反対されると激昂してしまったり、ささいなミスで自分を追い込むことになる。
アイデンティティはまとうものであり、自分と他人の間に立ち現れてくる相対的なものにすぎない、刺激をを受けたとしても、決して内側にある「本当の自分」が傷つくわけではない、と考える。

